HCDコラム

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  IEA2015は、国際人間工学連合(IEA=International Ergonomics Association)が主催する、3年毎に開催される人間工学に関する国際会議です。1961年に初めてストックホルムで開催されてから、19回目という歴史ある会議です。日本では、日本人間工学会が、1965年に加盟しています。

  HCD-Net教育プログラムワーキンググループが発表を行いましたセッションでのディスカッションについて報告します。

日時:2015.08.11 (火) 12:45~16:15

名称:International cooperation of certification accreditation professional ergonomists

  このセッションでは、人間工学に関する認定制度を持つ11カ国の組織・団体から専門家の認定に関する推進活動とその状況について報告及びディスカッションが行われました。各国から報告された内容は2つの傾向がありました。

  ひとつは、日本を含むアメリカ、カナダ、オーストラリアなど人間工学に関する取り組みに歴史のある国の取り組みで、専門家教育プログラムや推進の仕組みに多くの知見を持っています。もう一方は、新興国など取り組み期間の浅い国の取り組みで、とにかく専門家の人数が少ないことや推進活動の困難さが報告されました。

  当WGからは、HCD(人間中心設計)の普及・推進に向けて、実践現場で抽出した課題から実践への適用に関するフレームワークづくりを目標とした活動の背景と取り組み内容、これからの計画について報告致しました。

  当WGでは、実践の場から得られた課題の解決を目標として、実プロジェクトの事例から評価を行い、教育の枠組みを検討してきました。実践の場で、目の前に課題を抱えている人がHCDを活用するためには、必ずしも時間をかけて知識やスキル全体を体系的に学ぶのではなく、迅速に実プロジェクトの中にHCDの考え方を取り込み、問題解決をすることが重要となります。また、裾野を広げるためには、必ずしも専門家になる意思が明確でない人たちにも効果を訴求する必要があります。このような当WGの取り組みは、世界でも先進的な取り組みであるし、また、取り組みがこれからという専門家が少ない国における推進活動の参考としても良いケーススタディとなると感じました。

  セッションオーナーであり、専門家の少ないことが課題となっているブラジルのJose Orlando Gomesさんからは、大変参考になるプレゼンをありがとうとのお言葉をいただきました。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。