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第6回「人間中心設計の次なる段階へ −プロセスアプローチの紹介」

カテゴリ: 人間中心設計とは

掲載日: 2006年09月19日

3. プロセスの制度化を目指して

ユーザビリティ基礎講座の最終回にあたり、これまでのデザインのためのガイドラインに加えて、プロセスガイドラインについて解説してきた。組織的、戦略的にユーザビリティの向上を考えるのであれば、人間中心設計プロセスを導入し、適切なプロセスマネージメントが必要になる。これは、組織に定着化させるために、最終的には、開発ライフサイクルの中に制度化する必要がある。


製品開発におけるユーザビリティ活動は世の中のトレンドに合わせた一過性のアプローチでは、知識が組織に内在化されない。外面的なユーザインタフェースの問題と認識してしまうと、国際的競合の中に、数年内に追随できなくなることは必至である。長期的な展望のもとに、ユーザビリティをマネージメントする仕組みを構築することは経営戦略上、避けがたい課題である。


その上で、設計者の教育訓練、各種手法の開発管理、ソフトウェア工学の管理手法の統合化など鋭意進められる必要がある。特に、ユーザビリティを高める設計を実装できる技術者の教育訓練の要請は、急を要するものと実感される方も少なくないと思われる。これに対して、現在のところ、明確なカリキュラムを持つ大学はほとんどない。文科省の知的クラスタ創成事業の一貫して行われている札幌ITカロッツェリア(http://www.it- cluster.jp/index.html)プロジェクトでは、組込みソフトウェア技術者のための教育事業を展開した(図7)。


図7

図7:札幌知的クラスタ ユーザビリティ教育支援事業の構成


また、昨年、2005年には、国内のユーザビリティ活動を支援するための団体である、NPO法人『人間中心設計推進機構』(http: //www.hcdnet.org/)が設立された。これは、国内のユーザビリティ関係者が参集し、行政や民間のユーザビリティ課題に対して、研究、規格・認定、受託業務、社会化、教育の事業を通じて、支援する団体である。このNPOは、個人単位、企業単位ごとの教育事業を推進するとともに、ユーザビリティ技術に関する資格認定制度を検討している。


欧米と比較すると、ユーザビリティに関するスキルを高めるための社会基盤は、まだ、整備されているとは言えないが、着実に環境はされつつある。今回の基礎講座によって、ユーザビリティに関する関心を広げていただき、支援環境へアクセスしていただくきっかけとなっていただければ、望外の喜びである。


(第6回・おわり)