セミナー・サロン

2/9(木)に芝浦工業大学にて、アスコエとHCD-Net(ビジネス支援事業部)との共催による「ユーザビリティ評価・UX評価の現在」と題するセミナーが開催されました。当日は「自治体WebサイトAward 2017セミナー」として、アスコエ「自治体WebサイトAward2017」の発表と講演が第一部(13:00~15:00)に。「HCD啓発セミナー」として、小樽商科大学の平沢 尚毅 教授による「UX/ユーザビリティの産業界への影響を再考する」が第二部(15:15~17:15)に、といった二部構成となりました。


第一部のアスコエ(NPO団体アスコエ、株式会社アスコエパートナーズ)による「自治体WebサイトAward 2017セミナー」では、アスコエ代表の安井 秀行氏より「今回評価の概要と解説」から開始。今回の自治体WebサイトAwardが全国812市に対して「自治体サイトにおける子育て制度情報(調査期間:2016年10月~同年12月)」に関するものであることや、評価の概要と経緯の紹介、そして各賞の紹介が行われました。


各賞は、「子育て制度コンテンツ賞(出産・誕生祝い制度)」、「シニア制度コンテンツ賞(介護慰労金の支給制度)」、「エコ住まい制度コンテンツ賞(住まいのエコに関する助成金制度)」、「いいね!サイトトップ賞(トップページ)」、「いいね!制度ページ賞」、「NEM(Novice Expert ratio method)賞」、「UM-IA(Universal Menu based Information Architecture)賞」の計7部門。それぞれの部門の内容と受賞自治体に関する発表が、株式会社アスコエパートナーズの小林 麻美氏(各制度コンテンツ賞)・堀越 茉由氏(いいね!サイトトップ賞、いいね!制度ページ賞)・高岡 英雄(UM-IA賞)、株式会社U'eyes Designの神田 周一氏(NEM賞)より行われました。


また、賞を受賞した自治体の中から、所沢市環境クリーン部環境政策課の谷口 周様と、藤枝市企画財政部広報課の杉本 雄亮様より、「優秀自治体の講演」として受賞自治体を記念して各取り組みの紹介がありました。「エコ住まい制度コンテンツ賞」を受賞した所沢市では、「スマートエネルギー補助金について - マチごとエコタウン所沢構想」と題して、所沢市の概況や同市の二酸化炭素排出量に関する背景から、「マチごとエコタウン所沢構想」に至った経緯やその活動の詳細を説明。中でも「スマートエネルギー補助金」に関する取り組みが強調されました。「いいね!サイトトップ賞」を受賞した藤枝市では、「藤枝市ホームページに込めた“想い” - 藤枝のまちを愛し、理解する -」と題して、藤枝市のホームページに関する歴史やリニューアル基本理念に関する説明とケースを解説。「ホームページ構築の大切な視点」として“「まちを知り、ひとを想い、理解すること」が、「そのまちにとっての最良のホームページ」である”と締めくくられました。

その後、評価方法の解説に関する学びの時間が持たれ、株式会社U'eyes Designの神田 周一氏より「NEM(Novice Expert ratio method)」の解説、株式会社アスコエパートナーズの高岡 英雄氏より「UM-IA(Universal Menu based Information Architecture)」の解説が行われました。今回のAwardを支える「Webサイトに関わる評価手法」の特徴を知る絶好の機会となった様子です。


続いて、第二部のHCD-Netによる「HCD啓発セミナー」では、「UX/ユーザビリティの産業界への影響を再考する」と題して、小樽商科大学の平沢 尚毅 教授による講演が行われました。平沢教授は、2016年に電子政府のユーザビリティ向上/推進に尽力したことで「総務大臣賞」を受賞。当日も同賞受賞を記念したパーティーを直前に控え、ユーザビリティ評価基準となるCIF(コモン・インダストリー・フォーマット)のJIS化の解説や、その産業界に及ぼすインパクトなどについて力説されました


本講演では、3つのパートに分かれ、1つめの「UX/ユーザビリティの影響力の拡大」では、各国の電子政府システムにおけるUX変革の様子から電子政府の諸問題、経営層にCXO(チーフ・エクスペリエンス・オフィサー)が出現する傾向、セキュリティマネジメントやリスクマネジメントとの関連などを紹介。2つめの「情報サービスのUX/ユーザビリティを確保するための調達」では、CIF(ISO/IEC 25062)の解説から基本概念、CIFの活用方法、国内での普及について詳説されました。そして、3つめの「UX/ユーザビリティ人材の確保と育成」では、冒頭に「社会的な専門性の認識不足」や「ユーザビリティ専門家の慢性的な不足」といった課題が掲示され、それに対する「対処策」として「スキルスタンダードの考え方」や「UX資格プラグラム」、「資格制度の連携・統合」についての今後の可能性が述べられました。

当日は、公共分野における「ユーザビリティ評価・UX評価」に関する高い関心を持つ皆さんが集まり、第一部・第二部を通じた公共分野の取り組みの諸テーマについて、講演の後の時間も参加者同士の情報交換や交流が続いていました。

イベント概要

この度、ビジネス支援事業部では、NPO団体アスコエ、一般社団法人ユニバーサルメニュー普及協会、株式会社アスコエパートナーズとの共催で共同セミナーを実施することになりました。
 当日は二部構成とし、第一部では「自治体Webサイト Award 2017 - 第3回自治体サイトユーザビリティ&コンテンツ評価」の受賞自治体の発表や講演と同時に、評価手法に関わる講演が行われます。特に、今回のAwardに際しては、ユーザビリティ評価に加え、情報構造(IA)面での自治体サイトのスタンダードである「ユニバーサルメニュー(UM)」を活用した「UMカバレッジ分析」や、実際の利用者のコエ(声)を反映させた評価が行われています。
 第二部では、昨年に電子政府のユーザビリティ向上/推進に尽力したことで総務大臣賞を受賞された小樽商科大学・教授の平沢尚毅氏を講師に迎え、ユーザビリティ評価基準となるコモン・インダストリー・フォーマット(CIF)のJIS化を踏まえ、産業界に及ぼすインパクトについて解説いただきます。特に、調達時における共通様式に関する例や、今後のUX/ユーザビリティ人材の確保や育成に関わる影響について、詳しく解説いただきます。
まさに、自治体サイトのユーザビリティ評価や、あらたなユーザビリティ評価基準に関する今後の対応策などからみる「ユーザビリティ評価・UX評価の現在」について考える1日となります。HCD-Net会員の皆さまはもとより、ウェブサイトの評価やUX/ユーザビリティの新しい規格などに関心のをお持ちの方に広くご紹介いただき、一人でも多くの皆さまの当日のご参加をお待ちしています。

■共催:NPO団体アスコエ、一般社団法人ユニバーサルメニュー普及協会、株式会社アスコエパートナーズ

■日時:2月9日(木)13:00~18:30(受付:12:30~13:00)

■会場:芝浦工業大学 芝浦キャンパス 307教室
東京都港区芝浦3-9-14
http://www.shibaura-it.ac.jp/access/shibaura.html

■定員:80名(先着順)

■参加費:3000円

プログラム

13:00~15:00
自治体WebサイトAward 2017記念セミナー 「2016年度自治体サイトランキング -解説・表彰式・講演 -」
安井 秀行氏(NPO団体アスコエ・代表、株式会社アスコエパートナーズ・代表取締役)
・今回評価の概要と解説(仮)
・優秀自治体表彰式(仮)
・優秀自治体の講演(仮)
・ユニバーサルメニューの紹介
・NEMの紹介

15:15~17:15 
HCD啓発セミナー「UX/ユーザビリティの産業界への影響を再考する」
平沢 尚毅氏(小樽商科大学 社会情報学科・教授)      
・UX/ユーザビリティの関連規格の拡がり
・調達とUX/ユーザビリティ-工業共通様式を例にして
・展望-UX/ユーザビリティ人材の確保と育成

17:15分~18:15分 情報交換会


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動画チャンネル

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