海外カンファレンス報告

AHFE(Applied Human Factors and Ergonomics)は応用人間工学に関する学会で、HCIIと同様にGavriel Salvendyが創始者となっている。連携学会(affiliated conference)が多数含まれているのも、その影響と思われる。大会の対象領域は、身体人間工学、認知人間工学、社会人間工学、ソフトウェアとシステム工学、安全管理、健康管理、異文化間意志決定、ディジタルヒューマンモデリング、感情的デザインや感性関連、交通関連、生産管理、そしてユーザビリティなどである。各大会長を国別に見ると、アメリカが多いのは当然として、意外にもブラジルやポーランドが結構含まれていた。

2014年の第5回大会はポーランドのクラクフ(Krakow)のヤギェウォ大学(Jagiellonian University)を会場として、7.19-23の期間、開催された。参加者は62カ国から1400人程度だったと報告されている。なお、この大学は、ポーランドで最古の大学であり、レベル的にもワルシャワ大学と1,2を争うところらしい。またクラコウはワルシャワを東京とした時に京都にたとえられるような古都であり、建物の高さ規制もあるらしくて現代的なビルがなく、それなりに雰囲気のある町だった。ただ、大学に関していえば、いわゆる分散キャンパスで、大会が開かれたのは郊外にできた新しいキャンパスであった。サイトにはその旨が書かれてはいたが、ダウンタウンにあるキャンパスに行って戸惑ってしまった人もちょっとはいたようである。

私は、NECの福住氏が取りまとめた人間工学資格認定に関する企画セッションで、HCD-Netの行っている人間中心設計の資格認定制度について発表を行い、また芝浦工大の大倉先生が座長をする感性関連のセッションで、サービスに関する感性的経験について発表を行った。どちらのセッションにも結構多くの聴衆がおり、また質疑も熱心に行われた。

次回の第6回は、2015.7.26-30にLas Vegasで開催され(http://www.ahfe2015.org/)、提出論文のレビューは500ワードのアブストラクトによって行われる。

 

黒須 正明

HCD-Net理事長、 放送大学


HCD-Net で人間中心設計を研究する

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、HCDやユーザビリティに関する学際的な知識を集め、それらを研究する方々への指導的役割を果たすべく活動しています。

HCD-NetにはHCDの研究者も数多く参画し、研究会の開催、機構誌の発行など、専門家による情報交換を活発に行っています。