井登理事長よりご挨拶
設立20周年、人間中心デザインの「次の20年」を編む中継役として
特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net) 理事長 井登 友一

特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)のウェブサイトをご訪問いただき、誠にありがとうございます。
私は、2025年より篠原稔和前理事長の後任として、本機構の理事長のお役目を拝命いたしました。篠原前理事長、そして歴代の理事長たちが積み上げられた数々のご功績と、HCDの普及・啓発に向けた揺るぎないリーダーシップに深い敬意を表するとともに、その重いバトンを引き継ぐ責任を今、改めて身の引き締まる思いで受け止めております。
HCDが「常識」となった時代の、新たな問い
本機構が設立された20年前、日本において「人間中心(Human-Centered)」という概念は、まだ一部の専門家による先駆的な思想に過ぎませんでした。しかし、先達のたゆまぬ努力により、今やビジネスや社会においてユーザーの視点を中心に据えることは、誰しもが異を唱えない「常識」となりました。
一方で、私たちが直面する社会課題は複雑化し、生成AIをはじめとするテクノロジーの進化は、人間と人工物の関係性を劇的に塗り替えようとしています。「使いやすさ」の追求が当たり前になった今、私たちに問われているのは、そのデザインが人々の人生や社会、そして地球環境に対してどのような「意味」を持ち、どのような未来を形作っていくのかという、より本質的で倫理的な問いです。
次の世代へつなぐ「中継役」として
HCD-Netは昨年、設立20周年という大きな節目を迎えました。この記念すべきタイミングで理事長という大役を仰せつかった私自身の役割は、決して一人で大きな変革を成し遂げることではないと考えています。
私の使命は、これまで先達たちが20年にわたって築き上げてこられた強固で多様な重なりをもつ地層を大切に守りながら、次の10年、20年を担う新しい世代のHCDプロフェッショナルたちが、その感性と専門性を存分に発揮できる場を整えること。すなわち、未来への「中継役」に徹することです。
肩肘を張りすぎることなく、しかし「人間らしさ」を大切にするデザインの力だけは強く信じ、会員の皆様、そして多様なパートナーの方々と共に、次の20年のための準備を実直に進めてまいりたいと考えております。
開かれた共創のプラットフォームを目指して
HCD-Netは、学術的な探求と実務的な実践が交差する、稀有な実践共同体です。このコミュニティが、より良い未来を探索し続けるための「開かれた羅針盤」となり、専門領域を超えた多様な人々が知恵を出し合える共創のプラットフォームであり続けるよう、尽力してまいります。
会員の皆様、そして本機構に関心を寄せてくださる皆様。人間中心デザインが拓く、より豊かで誠実な未来を共に創り上げるために、ぜひ皆様のお知恵とお力をお貸しください。
今後とも、変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2026年4月
特定非営利活動法人人間中心設計推進機構
理事長 井登 友一