人間中心設計(HCD)について

 

人間中心設計(HCD)とは


HCD(Human Centered Design)とは、「苦い経験」を減らし、「うれしい経験」をもたらすための取り組みで、製品やシステム、サービスなど広い分野で活用されています。

モノ中心から、使う人間を中心にしたモノ作りへ

従来のモノ中心の考え方から人間中心の考え方への転換を示す図。左は「モノ中心」を中心にコスト、納期、安全性、性能、機能、信頼性、仕事が配置され、右は「人間中心」を中心に満足度、効率、快適性、環境、安全性、有効性、成果、仕事が配置されている
これからはモノだけでなく、それを使う人間の要求に応えるために技術を生かさなければなりません。HCDでは「人間」を中心にすえて、人間の要求や欲求に合わせることを優先して設計します。

問題点の改善から新たな魅力の創造まで

HCD導入によるユーザー価値向上の考え方を示す図。下層の「HCD導入前」では現状の問題を改善し、わかりにくさや戸惑いがなくなり、無駄や誤操作が減って効率が向上する「当たり前レベル」を実現する。上層の「魅力レベル」では新たな魅力を作り出し、やりたいことが思い通りにできる、これまでできなかったことができる状態を実現し、最終的にユーザー価値の向上につながることを示している
HCDがめざすのは、ユーザエクスペリエンスと使いやすさ、ユーザー価値の向上です。これらは、単に現状の問題点を改善することではありません。より積極的に、人間の欲求に応える新たな魅力や体験の創造をめざします。

「手戻り」を減らし、顧客満足と企業利益を同時に達成

HCD導入によるユーザーと企業双方のメリットを示す図。ユーザーのメリットとして、使って楽しい、仕事の効率が向上する、思い通りに操作できる、時間が短縮されることが示され、これが顧客の満足につながる。さらにその結果として、売り上げの向上、コスト削減、操作に関する問い合わせの減少、手戻りの減少といった企業のメリットが生まれ、企業利益の向上につながる関係が示されている
HCDの導入によって、ユーザーはモノやサービスをよりスムーズに、楽しく使うことができるようになります。メーカーにとっては、顧客からの操作に関する質問や「手戻り」が減り、コスト削減と顧客満足(CS)を同時に達成することができます。
 

HCDサイクル(HCDのプロセス)


HCDを実践する方法として、4つの主要な活動と1つの予備的な活動からなるHCDサイクルがあります。進め方の基本は、HCDサイクルを取り入れ、製品の構想段階から対象ユーザーとその要求を明確にして、要求に合ったものを設計し、満足度合いを評価することです。これをユーザーの要求や欲求が満たされるまで繰り返します。

使う人の要求に応えるために、設計と評価を繰り返す

人間中心設計プロセスのサイクルを示す図。まず人間中心設計プロセスの計画を行い、①利用状況の把握と明示、②ユーザの要求事項の明確化、③ユーザの要求事項を満足させる設計による解決策の作成、④要求事項に対する設計の評価、の4つの活動を繰り返す。評価の結果、要求事項に適合していれば実装に進み、満たしていなければ適切な段階に戻って見直しを行う反復プロセスであることを示している

参考資料:HCDコンピタンスマップ

HCDサイクルを実践するために必要となる能力・技能・知識の具体的な詳細については、以下のコンピタンスマップを参考にしてください。

現場観察で問題点を見つける

人、時、場所、目的により変化する使いやすさやユーザー価値を向上させるには、対象とするユーザーの欲求や行動を知ることが出発点となります。現場では、ユーザーを中心に、その周りでどんなことが起きているかを観察し、分析します。実際の利用現場には多くのヒントが隠されています。

多様な人材チームで進める

HCD活動はHCDの専門家だけでなく、製品仕様をまとめる設計者やデザイナー、市場導入戦略を牽引するマーケッターなど、多様な人材が関わりながら推進することが求められます。
 

入門教材


HCD-Netの本『HCDライブラリー』シリーズ2026/2/2 20:422026/4/4 2:03HCD入門講座教材2026/2/2 20:422026/2/3 3:39