HCDコラム

私はコンサル業務のため、UX関連の業務はめっきり少ないです。とはいえ、UXの考え方・アプローチ(以降、UXアプローチ)を応用する場面は増えているように感じています。
今のDX等に代表されるデジタル化における活用もそうですが、日々の業務も同様です。今回は身近な応用例として、ドキュメンテーションを取り上げます。

早速ですが、ドキュメントをプロダクトと考えた場合、UXは「読者のドキュメントの確認前から確認後の知覚と反応(アクション)」と設定できます。
要は読者が読了後にどうなったか?どうしたか?です。

具体的なドキュメントで考えてみます。操作マニュアルは皆さんご存知と思いますので、企画書や提案書を例に挙げます。
<提案書の例>
・読者:相対する担当者(他にも、上席者や決定者、対立部署や法務や調達部署の人を設定)
・環境:媒体、事前提出の有無(初見の環境の設定)等のドキュメントの確認環境の設定(ドキュメントの確認環境・状況は暗黙の前提になりやすいので要注意)
・アクション:最終的には採用に資すること(ただし、そこに至る迄に提案書を通じて、作成者と読者の共通理解を育成)
・その他:忘れがちなのですが、顧客内の提案採用迄フローの特定と、顧客フォローアップの設定は大事です。ここ次第でドキュメントの方向性が変わります。

他にも、WEBサービスやシステムの開発と比較し、ドキュメントは「一人で短時間に作成でき、ユーザーの反応がすぐにわかる」等の特性もあり、UXアプローチを応用しやすいプロダクトです。
それに、短い期間で繰り返し作業ができるため、UXの考え方を身に着けやすいです。
また、作成時にWebサービスやシステムの開発観点(IA、ビジュアルデザイン、ユーザビリティ評価)も取り込むことができます(もちろんHCDプロセスは100%活用です)

駆け足になりましたが、ドキュメンテーションへのUXアプローチがイメージできましたでしょうか。操作マニュアルや提案書に限らず、どんなドキュメントでもUXアプローチを応用できます。
最近ではUXライティングもあり、応用範囲は広いと感じます。そのためには、まずは身近なドキュメントからUXアプローチを始めてみてはいかがでしょうか?


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。