HCDコラム

皆さん、「サポートセンター」と聞くと、どのような印象を受けますか?一部大企業や、スタートアップでは、SDD(Support Driven Development)として、ユーザーフィードバックを開発に活かすケースが増えていますが、まだ多くの方がサポートに対して製品説明やクレーム処理センターといったイメージを持たれているかと思います。私が所属するソフトウェア開発メーカーにおいてもサポート部門は、問い合わせがあり次第対応といったリアクティブなモノでした。そんなサポート部門が私が統括するマーケティング部門にジョインしたのが昨年の夏。手探りで組織基盤作りやメンバーの意識改革をおこないました。

本コラムでは、この半年を通して実施したカスタマーサクセスにおけるHCDについて共有します。

前述の通り、従来のカスタマーサポートは主にクレーム処理でした。しかしマーケティングの観点から昨今の急速なビジネス環境の変化に対応しサービスを持続的に成長させていく為には、迅速な外部環境分析が必須です。顧客を知り、そこにフィットする価値を提供する事が競争優位性を保つ上でも重要となります。では、迅速に顧客を理解し共感するにはどうすれば良いか?それは「顧客の声を聞くこと」に尽きます。顧客との直接的なリレーションは「カスタマーサポート」にあり、このパスを活用しない手はありません。

実施したフローは以下です。
①サポートと販促と開発部門との連携を強化。 CX戦略として新たな組織基盤作りを推進。

②顧客視点で、何故この問い合わせに至ったかの仮説を立て、未然に防げる内容はFAQサイトとして展開。 HCD「観察→理解→設計→評価・実装」のサイクルを実施。

③顧客の利用環境や機能への要求の声をマーケティングデータとし、次期開発要件に追加。

④売上計画や成果を月次で共有。 各サポートメンバーの評価軸として売上貢献度をプラス。

成果としては、12月の売上は前年同月比138%で過去最高を達成。その他外部環境要因もありますが1つ成果になったと感じています。カスタマーサポートが「課題の解消」であるなら、カスタマーサクセスは「ユーザーに関わる全ての体験とライフサイクルの管理」と云えます。
HCDのサイクルに沿って丁寧に顧客と向き合う取り組みこそが、今の不透明な時代におけるサービス成功の鍵と云えるでしょう。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。