HCDコラム

皆様、初めまして。

私はUXデザインを中心としたWEBやアプリ、デジタルコンテンツ関連の仕事をしておりますが、プライベートでは週末に、家族のために料理をすることが趣味であり、良い気分転換になっています。いつも家族が食べたいものを想像しつつ、話をしながらメニューを決めるのですが大体その日の気分や空気などで、みんなが食べたいものがなんとなく察知できます。

メニューが決まったら食材を揃えて、調理をするのですが、週末限定の機会なので料理をするときは前菜や料理に合う飲み物をタイミングを見ながら出したりすることで極力家族の食事体験全体を心地よいものにしようと色々試行錯誤しています。タイミングの図り方は、ユーザーの行動観察が功を奏します(笑。

少しでも美味しいものを…と思いながらフライパンを握っていると、この行為はHCDサイクルと共通点があると感じました。相手のことを知って、食事に対する気分を把握、メニューを着想してサーブ、評価を聞き、次回のメニューに繋げる…世間一般ではこの行為をおもてなしと呼ぶと思いますが、まさにおもてなしするという行為は相手に喜んでもらいたい(=うれしい体験を提供したい)心そのものかなと思います。

コロナ禍における飲食店への影響は連日ニュースで報じられていますが、常連の方々に支えられ根強い人気を誇る名店は、店主がお客様の食事時間全体を心地よいものにしようとするおもてなしのアンテナがものすごく高いのだと思います。相手の利用状況を把握することからスタートするおもてなしの心、まさに人間中心設計は日本人の心に根ざしたデザインプロセスではないだろうかと思わずにはいられません。

これからの時代、新たなスタンダードが出現し、人々の生活様式も移り変わり続けていくと思いますが相手のことを知り、相手が喜ぶことを考え、実行する。この心は普遍的なものであると思っています。

本年よりHCD-Netにて様々な考え方に触れる機会を得ることができ、気づき・発見多々ありますが、時代が変わろうと人間中心設計は人間の普遍性を追求し、本質を模索し続けるデザインプロセスであると感じていますし、逆に特別なものではなく、とても身近な、日常に溶け込んだものであるとも感じています。

多少大げさな言い方になりますが公私共に相手の立場に立って物事を捉えることを習慣付ける、この思考習慣は今後の人生、そして生き方にも影響を及ぼしていくのかもしれません。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。