HCDコラム

今日はHCDとプロダクトマネジメントの関係についてコラムを書いてみたいと思います。私は2年ほど前から、プロダクト開発にフォーカスしたメディア「ProductZine」で定期的に記事を書いています。今まで、デザインコンセプトやUXリサーチ、プロトタイピングなどについて書いてきたのですが、今回はHCDとプロダクトマネジメントについて書いてみました。

人間中心設計を導入し、価値あるプロダクトを開発する
https://productzine.jp/article/detail/2048

HCD-Netではまだまだ馴染みのない領域かもしれませんが、プロダクトマネジメントとはプロダクト開発からリリース後の運用までプロダクトを成功に導くためにマネジメントしていく機能/役割のことで、主にIT /ソフトウェア業界で多く見られます。プロダクトマネジメントはプロダクトを成功に導くことを目指していますが、成功に導くために顧客や顧客価値を大事にしています。リソースや期間が限られた中でも顧客に価値を提供し続けることができないと、プロダクトを成功に導くことができないからです。

このプロダクトマネジメントの役割はとても広く、プロダクトのビジョン策定、ポジショニング、価格設定、ロードマップ制作/運用、開発項目の優先順位付け、製品のプロトタイピング、KPIマネジメントなど挙げれば切りがないほど様々な業務があります。これは一人でプロダクトマネージャーの仕事を全てこなすのは難しいとも言われるほどのカバー範囲です。このようにプロダクトマネジメントの業務範囲は多岐に渡りますが、どの業務にも共通して言えるのは顧客とその価値に向き合うということです。たとえ実装する機能を削るような、一見すると顧客価値を損なうような場合においても、プロダクトマネージャーはリソースや開発期間を考えて顧客価値を損なわないようにするにはどうすればいいかを考え、プロダクトの成功(時には撤退)をリードしていかないといけません。

このように、プロダクトマネジメントは常に顧客に向き合う仕事であると言えるのですが、このプロダクトマネジメントとユーザーを中心としたモノづくりを行うための考え方/プロセスであるHCDは相性がいいのではないかと常々思っていました。筆者の役割はプロダクトマネージャーではありませんが、プロダクトマネージャーの仕事を見たり、自分がその役割の一端を担うことがあるので、その経験からプロダクトマネジメントとHCDの関係性を言葉にするといいのではと思いました。

ここで執筆した記事の中身について細かく触れませんが、記事を書くことでプロダクトマネジメントに関わる人がHCDの知見を持つ、あるいはHCDの専門家がプロダクトマネージャーとタッグを組んでプロダクトを開発することには様々なメリットがあるということに気づきました。同時に、これまではHCDとプロダクトマネジメントはあまり交わりがありませんでしたが、今後はもっと密接な関係になってもいいのではないかと思いました。今はプロダクトマネジメントの領域にHCDが浸透していくようなことが何かできないかなと思っています。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。