HCDコラム

きっかけは、オーディション番組でした。
それまでまったく興味のなかったアイドルに突然夢中になった私は、CDを箱買いし、うちわを持ち、アイドルTシャツを着て、ライブに通うようになりました。
最近では、朝の番組でファン代表としてインタビューを受け、全国放送でニヤニヤ顔を晒したこともあります。
そんな「推し活」を通じて私が強く感じたのは、「デザイン思考」との共通点です。
■共感から始まる熱狂
デザイン思考の第一歩は「共感」です。
推し活も同様に、アイドルの持つストーリーに共感し、「推しの夢を応援したい!」という思いから始まります。
推しとの間に生まれる強い感情の共有こそが、推し活の原動力であり、デザイン思考における「共感」の核となるのです。
■課題発見と解決のプロセス
オタクは常に「このアイドルの素晴らしさをもっと多くの人に伝えたい」という思いを抱え、そのための方法を模索しています。
たとえば、SNSで発信の工夫をしたり、ファンイベントを企画したり、二次創作によって魅力を拡張したりするなど、その活動はまさに「課題解決」の実践です。
オタクは日々アイデアを生み出し、試行錯誤を重ねながら、仲間と共有し改善を続けています。
■推し活は最強のクリエイティビティの源
推し活には、「好き」という揺るぎない感情があり、それが創造性の源になります。
仲間とつながることで、コラボレーションや共創も自然に生まれます。「推しをもっと尊くするために」、普段は異なる世界で生きている多様なオタクたちがチームを組み、プロジェクトを動かしていく。
その姿は、まさに共創を重視するデザイン思考の実践そのものです。
■おわりに
「推し活」という情熱的で個人的な行為のなかに、「デザイン思考」のエッセンスはしっかりと存在しています。
共感し、問いを立て、アイデアを試し、チームで共創しながら価値を生み出す。このプロセスは、ただの趣味を超え、社会を動かす力を持っています。
今や推し活の市場規模は、国内だけで約3.5兆円*と言われています。
我々オタクの「好き」は、世界を変える可能性を秘めているのです。
*1:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000025413.html
ちなみに、私の推しは9人組のグローバルグループ「&TEAM」。共感してくださる方、ぜひ語り合いましょう!


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HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。