HCDコラム

ショートコラム Vol.109

 齢を重ねるとともに、病院や薬局などの医療機関を利用する機会が増えてきた。少し前までは(1)診察の順番が来るのをじっと(ときには数時間)待ち、(2)わずかな診察時間に発せられる医者の言うことに大人しく従い、(3)言われたとおりの処置を受け、(4)また診察と同じくらい待って会計を済ませ、(5)場合によっては、処方されるままの薬を受け取って帰る、というパターンが多かったように思う。

  さすがにインフォームドコンセントが浸透してきた昨今では、医師や医療機関が上から目線でそのサービスを押し付けることは減ってきているのではないだろうか。以前は「専門家の私(医師)が言っているんだから素人(患者)は黙って大人しく従っていれば良い」的な対応に遭遇したが、最近は、それがたとえ取るに足りないことであっても患者の声にじっくり傾聴する対応に変化してきていると感じる。多くの医療機関が「患者中心の医療」をスローガンとして掲げていることもその現れであろう。その分、今まで以上に待ち時間が増える恐れがあるともいえるが、効率を重視した提供側だけのシステム改善ではなく、患者の行動や要求をしっかりと把握した上でのサービスが提供されることを期待したい。


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