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近年、SDGs、CSR、ESG、サステナビリティ、多様性といった言葉が広く聞かれるようになりました。これらはいずれも、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すものであり、すべての人にとって使いやすく、アクセスしやすい製品・サービス・環境を目指すユニバーサルデザイン(UD)の考え方と深く通じ合うものです。
ユニバーサルデザインという言葉が、ノースカロライナ州立大学のロナルド・メイス教授によって提唱されたのは1980年代のこと。日本国内でも1990年代以降、建築や交通、家電、IT、教育など多様な分野でその取り組みが進んできました。
しかし現実には、「UDに取り組んでも利益につながるのか?」「費用対効果はどうか?」といった声が、いまだ企業内では根強く聞かれます。大切な価値観であるにもかかわらず、実践には壁がある——これが多くの方の実感ではないでしょうか。
今回のセミナーでは、単に事例を紹介するだけでなく、「どのように社内を動かすか」「取り組みを継続するには何が必要か」といったリアルな知見を共有し合う場とすることを目指します。先進企業の取り組みを知り、参加者同士・講演者との対話(交流会も設けています)を通じて、各自の現場で次の一歩を踏み出すきっかけとしていただければ幸いです。
ユニバーサルデザイン/インクルーシブデザインに関心のある方、すでに取り組まれている方、これから始めたいと考えている方など、さまざまな立場の方のご参加をお待ちしています。
※本セミナーは、今後も年2回(東日本・西日本で各1回)の開催を予定しております。ご参加はもちろん、ご講演や会場提供などのご協力も歓迎いたします。
■日時:2025年6月20日(金)13時00分~17時45分 (受付開始:12時30分~)
■会場:芝浦工業大学豊洲キャンパス 本部棟 4階 2401教室
■共催:特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)
特定非営利活動法人 インクルーシブデザインネットワーク
■定員:50名
■講演会参加費:
HCD-Net会員・インクルーシブネットワーク会員:3,000円
一般:4,000円
※情報保障が必要な方は、開催の2週間前までにPeatixのメールにてご連絡ください。
■交流会参加費(希望者のみ):4,500円 ※別途チケットを購入ください。
■参加申込方法:下記よりお申込みをお願いいたします。
https://peatix.com/event/4358996/
■プログラム:
13:00-13:05 開会挨拶およびHCD-Netの活動紹介(HCD-Net 副理事長 水本 徹氏)
13:05-13:20 インクルーシブデザインネットワーク活動紹介(理事 岩﨑 あきひろ氏)
13:20-14:10 講演①(UXPRESS 井出 健太郎氏)
14:10-15:00 講演②(富士通株式会社 境 薫氏、杉妻 謙氏)
15:00-15:10 休憩
15:10-16:00 講演③(株式会社リコー 岩田 佳子氏)
16:00-16:50 講演④(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 川田 夏希氏)
16:50-17:40 講演⑤(鹿島建設株式会社 原 利明氏)
17:40-17:45 閉会挨拶
18:30- 交流会
■発表内容詳細
講演①:データと事例で理解するアメリカのリアルなDEI &アクセシビリティ(UXPRESS 創設者兼最高経営責任者 (CEO) 井出 健太郎氏)
概要:
15年以上アメリカの第一線でUXやアクセシビリティのデザイン・リサーチを実践してきた登壇者が、アメリカ社会におけるDEIやアクセシビリティの現状について解説する。また、日本で歩みの遅かったアクセシビリティ対応やDEIの社会実装が、アメリカをはじめとした海外ではスピード感を持って進んできた理由について、企業に対する訴訟問題がクローズアップされがちだが、実際にはそれ以外の要素も大きく影響している。それら訴訟以外の重要な要素についても、ROIなど各種データを交えて説明する。講演の後半部分では、UXPRESS社がサポートした事例として、株式会社サイボウズとアメリカ人視覚障がい者を対象に行ったアクセシビ リティリサーチについても紹介する。
ご講演者プロフィール:
共創&外国人ユーザー視点のコトモノづくりの専門家。米国ソニーのUXチームリーダーとして活躍後、2015年1月に独立しカリフォルニア州サンディエゴにUXPRESSを設立。北米を中心に、創設後10年間で日立・ヤマハ発動機・島津製作所・リコー・ソニー・サイボウズなど、60社以上の日系企業のグローバルデザイン・リサーチをサポート。手掛ける業界もIT、メディカル、モビリティ、伝統工芸から有機農業など幅広く、大企業から中小企業やスタートアップまで、数多くの日系企業のグローカライゼーションをサポートしている。また、UXPRESSの活動と並行して、個人としても「日本のグローバルでアクセシブルなものづくり・街づ くり」を実現するため、企業だけでなく、地方行政や教育機関のアドバイザー・メンターとしても活動している。
人間中心設計専門家 (HCD-Net)、米国国土安全保障省認定Webアクセシビリティ評価者(US Homeland Security )、CPACC (IAAP)
講演②:富士通のUDの取り組みとユニバーサルツーリズムの実践
概要:
富士通は、誰もが使える製品やサービス、それらを支える技術とICT基盤の提供を通して、持続可能で多様性のある豊かな社会の実現への貢献を目指しています。
本講演では、まず、富士通のユニバーサルデザインを中心とした取り組みをご紹介。次に、発達障がいのある子どもたちの成功体験(スポーツ観戦だけでなく、バスや飛行機の移動、ホテルでの宿泊なども含め)を増やすこと、これからの共生社会へ向けた障がい理解の促進を目的として複数の企業が協力し取り組んだ「発達障害児を対象としたサッカー×ユニバーサルツーリズム」に関してご紹介します。
ご講演者プロフィール:
・境 薫氏
富士通株式会社入社後、デザイン部門にて人間工学領域から製品・サービスの設計・開発に携わる。現在はデザインセンター フロントデザイン部に所属し、最近はビジョンデザイン、サービスデザイン、ソーシャルデザイン領域に活動の幅を拡大。認定人間中心設計専門家、認定人間工学専門家。
・杉妻 謙氏 サービスデザイナー|ソーシャルワーカー(社会福祉士)
富士通株式会社 デザインセンターにて、パブリック領域のサービスデザイン業務に従事。
「社会の側にある障害をなくす」・「視点を変え、行動を変える」をテーマに、先端テクノロジーを活用した病院内学級向けの遠隔教育システムのデザイン・児童生徒向けデザイン思考の出前授業などに取り組む。また、市民として、川崎市中原区ソーシャルデザインセンターにて「市民主体のまちづくり」に参画。企業と地域の立場を越境しながら、社会課題起点での価値創出に取り組んでいる。
講演③:誰もがわかる・伝えられる社会へ ― “参加できる会話”を届ける、サービス開発の現場から(リコー デジタルサービス事業本部 プラットフォーム企画センター Pekoe推進グループ 岩田 佳子氏)
概要:
リコーグループは、「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という創業の精神「三愛精神」に基づき、SDGsが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」の実現に向けて、聴覚障がい者向けコミュニケーションサービス「Pekoe(ペコ)」の開発と普及に取り組んでいます。なかでも、聴覚障害のある方々が日常的に直面する「情報が届かない」「発言が伝わらない」といった課題は、会議やイベントなどの場面において深刻なバリアとなっています。
本講演では、聴覚障害当事者や支援者との共創プロセス、社内外での実践を通じた社会実装への工夫、そしてインクルーシブな社会の実現に向けた今後の展望についてご紹介します。
ご講演者プロフィール:
大学院にてヒューマンインタフェースの研究室に所属し、使いやすさ・わかりやすさを軸としたユーザーインタフェースの研究に従事。2002年より株式会社リコーにて複合機の操作部開発を担当。2008年からは社内新規事業部門にてUI/UX設計を中心とした商品・サービス開発を推進。2016年より音声認識技術を活用したサービスの開発に携わったことがきっかけで、働く聴覚障害者の現場の課題を目の当たりにし、2020年以降は「聴覚障がい者向けコミュニケーションサービスPekoe(ペコ)」を新規事業で立ち上げ、誰もが活躍できる社会の実現に取り組む
講演④:最大限に能力を発揮できる環境へー「誰」が「何」の話をしているかが直観的にわかる”VUEVO(ビューボ)”によって実現するコミュニケーションバリアフリー(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 川田 夏希氏)
概要:
VUEVOは聴覚障がいの方のお困りごと、会議など複数人の会話での「誰が話しているか分からない」「会話についていくのが難しい」を解決することからスタートしたサービス。聞き取りの難しさを理由に会議や研修への参加を諦めてしまう方もいるが、当事者の声と共に開発・進化してきたVUEVOにはコミュニケーションの本質に触れる機能が詰まっている。機能のご紹介とともに、VUEVOがもたらすキャリアの広がりの可能性、そしてツールありきではない当事者と周囲の相互理解・環境調整の在り方についてもご紹介します。
ご講演者プロフィール:
特別支援学校教員養成課程(聴覚言語障害)を卒業し、言語聴覚士として補聴器メーカーで啓蒙イベント企画や活用促進業務に従事。
2023年6月より、聞こえの違いをつなぐサービスVUEVOのDirectorとしてピクシーダストに参画。聴覚障がいの方の職場でのVUEVOの活用をサポートする他、当事者コミュニティや支援団体との交流、イベントや展示会の企画/実行などを担当。
講演⑤:鹿島のユニバーサルデザインの取り組み(鹿島建設株式会社 建築設計本部品質技術管理統括グループ ユニバーサルデザイングループ グループリーダ 原 利明氏)
概要:
鹿島では、「いつでも安全・安心な技術」「誰にでもわかりやすい空間」「どんなところも使いやすい建築」の三本柱でユニバーサルデザインに取り組んでいる。今回の発表会では、これらの鹿島の取り組み事例をご紹介したい。
ご講演者プロフィール:
一級建築士・博士(人間科学)
1990年 鹿島建設(株)建築設計本部建築設計部入社。その後2004年から2年間(一財)国土技術研究センターに出向。出向先では、国のバリアフリー施策に関する調査・研究を行う。2006年復職。
中部国際空港、東京国際空港、新千歳国際空港、成田国際空港など国内の主要空港のユニバーサルデザイン検討会委員をはじめ、国のユニバーサルデザイン、バリアフリーに関する委員も務める。現在、(一財)日本福祉のまちづくり学会理事・関東甲信越支部長。
<主な著書(共著)>
・中部国際空港のユニバーサルデザイン(2007年、鹿島出版会)
・至高の階段(2013年、彰国社)
・ユニバーサルデザインの基礎と実践―ひとの感覚から空間デザインを考えるー(2020年、鹿島出版会)
【注意事項】
■領収書について:
※領収書はチケット申し込み時に利用したアカウントより取得してください。
※クレジットカードのご利用明細書、金融機関の払込受領書もしくは払込完了画面、Peatix発行の領収データをもって領収書に代えさせていただきます。
インボイス制度対応の領収書が必要な方は、Peatix発行の領収データをご利用ください。
(参考サイト:https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/solutions/articles/44001826297)
※HCD-Netより領収書は発行しません。
■キャンセルについて:
・キャンセル前提のお申込みはご遠慮願います。
・やむを得ずキャンセルが必要となった場合、キャンセル期限「6月18日(水)12:00」までにお申し出があった場合のみキャンセル手続きを承ります。それ以降のキャンセルにつきましてはお受け出来かねますので、何卒ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
・キャンセル時の返金につきましては、Peatix Help「チケットをキャンセルしたい」をご参照ください。
■賛助会員の皆さまへ:
・2名まで「HCD-Net賛助会員」種別にて参加可能です。3名以降の方は「一般」種別となります。
・予め2名様を社内にてご調整をお願いします。3名を超えた場合は、再度お申し込み手続きを行っていただく場合がございますのでご了承をお願いいたします。
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