セミナー・サロン

毎年、好評をいただいている「合宿形式(2泊3日)で学ぶ、写真KJ法ワークショップ」を今年も開催します。場所は沖縄県宮古島市です。

■なぜ、創造的な問題解決が必要なのか?
新規事業の立ち上げやこれまでにない価値創出が、多くの組織で求められています。その中で、調査を丁寧に行い、課題を洗い出しても、結局は「ありきたりな改善案」しか出なかった…という経験はありませんか?

創造的な問題解決には、情報を分類して終わるのではなく、異なる視点や考え方を組み合わせて新しい意味を見出す力が欠かせません。そのための方法論として注目されているのが、川喜田二郎先生が提唱した「KJ法」です。本ワークショップでは、特に言葉では捉えきれない印象や感情などの情報を総合的に扱う手法として「写真KJ法」を用い、現場での体験を起点に深い思考へとつなげていきます。

■KJ法は“じっくり向き合う思考法”
KJ法は、短時間で付箋を分類して終わるような方法ではありません。データが「語りかけてくる」のをじっくりと待ち、組み合わせやつながりの中から新しい視点や意味を発見していく、深い思考の技法です。

本ワークショップの講師は、川喜田先生と共にKJ法の書籍を執筆された國藤進先生(北陸先端科学技術大学院大学 名誉教授)と、長年國藤先生に師事してきた水本氏(人間中心設計推進機構 副理事長)が務めます。

■テーマは「島の観光課題と、地元住民の向き合い方」
近年観光産業の発展目覚ましい宮古島。国内の航空便数の増加や、海外路線の就航、クルーズ船の寄港再開などにより、コロナ禍前以上の入域観光客数が見込まれるなか、島では交通渋滞、ごみの増加や水使用量の増加によるインフラへの影響、地元住民との文化的な摩擦など様々な課題が生じています。

経済的には観光消費額が増加する一方で、地元住民の平均所得が向上しているとは言い難く、島の有限な資源を使っているにも関わらず、地元が恩恵を受けているとは言えないのではないでしょうか。

また、海岸に漂着するごみの問題も深刻化しており、ボランティアによるビーチクリーン活動が広がりを見せつつありますが、その取り組みは一部の担い手に依存しているのが現状です。さらに、島内で日常的に発生するごみの分別についても課題があり、とくに高齢の住民に向けた情報伝達や実践の難しさが指摘されています。

島に暮らす人々や観光客、島で活動する企業など、それぞれの立場から少しずつ関わっていけるような仕組みやきっかけが、今あらためて求められています。

当日は、宮古島でご活躍されているお二人から、ワークショップのテーマに関する問題提起をいただきます。

話題提供者:
平山 茂治氏(一般社団法人 宮古島観光協会 専務理事)
井上 美香氏(フリーアナウンサー、『宮古の海をキレイにし隊』隊長)

■データの“背景”に気づける3日間
ワークショップでは、参加者が4〜5名のチームに分かれて探検計画を立て、街を歩き、人と話し、写真を撮りながらフィールドワークを行います。その中で集められるのは、単なるデータではなく、その土地に住む人々の思いや価値観、ちょっとした違和感や言葉にならない感覚が含まれています。そうした微妙な空気感に触れることで、思考の枠を超えた気づきが生まれます。

資源を守りながら、社会・経済を動かすには?
観光と住民が心地よく共存できる環境とは?
持続可能な地域のあり方を、KJ法を通じて探ります。

■KJ法の本質を「感じる」時間を
都市の会議室では得られない、情報と直感の両方を大切にする思考体験。
2泊3日の合宿形式だからこそ、じっくりとデータと向き合い、自分たちの問いに真正面から取り組むことができます。

ワークショップの最後には、チームごとに考えたアイデアを地元の方々に向けて発表し、講評をいただきます。実際にその土地に暮らす方々の視点や反応を通して、自分たちの考えに新たな気づきや深みが加わる貴重な機会です。

「これは仕事に使える」だけでは終わらない、“思考の根っこ”が揺さぶられる体験を、ぜひ宮古島でご一緒しましょう。

■日時:2025年11月26日(水) 13:00~11月28日(金) 16:00 (会場受付開始:11月26日 12:30 ~ )
※東京や大阪などの多くのエリアから移動を含めて3日間で参加可能です。

■会場:平良港ターミナルビル大研修室
※現地集合・現地解散となります

■主催:特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 (HCD-Net)

■協力:宮古島観光協会
    ハレルヤ 宮古島 Photo&Tours
    宮古の海をキレイにし隊
    TOMBO沖縄合同会社
    Hands-on support Michi
    島工房SaNiN

■定員:25名(先着順)

■参加費:HCD-Net正会員/賛助会員 28,000円、 一般 32,000円
※交通費、宿泊費、食費等は自身でご負担ください

■参加申込方法:下記よりお申込みください。
https://peatix.com/event/4414390/

■スケジュール
11/26(水)
12:30~13:00 平良港ターミナルビル大研修室 現地集合、参加者受付
--------
13:00~13:30 主催者挨拶・スケジュール説明・自己紹介
13:30~14:00 問題提起とフィールドワークのしかた(HCD-Net 水本)
14:00~14:30 地域の課題について
平山 茂治氏(一般社団法人 宮古島観光協会 専務理事)
井上 美香氏(フリーアナウンサー、『宮古の海をキレイにし隊』隊長)
14:30~    問題提起と探検計画立案(終了し次第、フィールドワークへ)

11/27(木)
朝~14:00   各チームフィールドワーク (14:00までに会場に到着し写真データを提出)
14:00~15:00 特別講演「渾沌をして語らしめるKJ法を中核とするW型問題解決学」(國藤進先生)
15:00~16:00 分析方法の説明(HCD-Net 水本)
16:00~   写真KJ法ワーク

11/28(金) 
朝~15:00   写真KJ法ワーク&発表準備
15:00~16:00 発表とご講評(國藤先生、地元関係者)

※タイムテーブルは変更になる可能性があります(開始、終了時間の変更はありません)

■講師プロフィール:
國藤 進氏
・北陸先端科学技術大学院大学 名誉教授
・1969年東工大制御工学科三年時に、川喜田二郎氏が創設した「黒姫移動大学」に参加。翌年開催の「伊良湖移動大学」には、リサーチグループとして参画。同時に川喜田二郎・牧島信一著「問題解決学 KJ法ワークブック」執筆の手伝いやKJ法トレーナーを歴任。
・東工大制御工学科修士卒後は、上記の書籍のご縁で、富士通㈱国際情報社会科学研究所(北川敏男所長)に入所。 滞在18年間の後半11年間は通産省の第五世代コンピュータ・プロジェクトに従事。ここでの活躍が認められ、1992年北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)情報科学研究科教授・情報科学センター長として転職。
・東工大で論文博士 博士(工学)。 専門はAI、知識ベースシステム、グループウェア、ミニ移動大学、知識創造論、イノベーションデザイン論。

水本 徹氏
・ゲームメーカーや医療機器メーカーをはじめとする幅広い分野で、人間中心設計(HCD)やUXデザインを活用した製品の企画・開発や新事業開発に従事。その経験を活かし、現在は組織へのHCDプロセスやUXデザイン導入のコンサルタントとして活動している。企業向けセミナーの講師や、複数の大学での非常勤講師も担当。
・和歌山大学 博士(工学)、人間中心設計推進機構 認定人間中心設計専門家、日本人間工学会 認定人間工学専門家、HCDベストプラクティスアウォード最優秀賞 受賞、HCD研究発表会優秀講演賞 受賞、Red Dot Design Award 受賞。
・人間中心設計推進機構 副理事長、日本人間工学会 人間工学専門家認定機構幹事。

■話題提供者プロフィール:
平山 茂治氏(一般社団法人 宮古島観光協会 専務理事)

井上 美香氏(フリーアナウンサー、『宮古の海をキレイにし隊』隊長)
・福岡市出身。福岡市のキャスター専門プロダクションに所属しテレビ西日本など民放各社のTVリポーターを経て、 2013年宮古島市に移住。フリーアナウンサーとして宮古テレビに出演中。 2015年から毎月末にビーチクリーンを主催、『宮古の海をキレイにし隊』を結成し隊長を務める。 漂着ゴミと向き合う視点から宮古島を取り巻く環境にも意識を向け精力的に活動中。

■協力者:
友利 理志氏(TOMBO沖縄合同会社 代表社員)
井上 歩美氏(島工房SaNiN 代表兼デザイナー(島尻地域サポート係)) 

■対象HCDコンピタンス
A1.調査・評価設計能力
A2.ユーザー調査実施能力
A3.定性・定量データの分析能力
A4.現状のモデル化能力
A5.ユーザー体験の構想・提案能力
A6.ユーザー要求仕様作成能力
A7.製品・事業の企画提案力

【注意事項】
■参加費とお支払い方法について
・参加費は、HCD-Net正会員/賛助会員28,000円、一般32,000円です。
・お支払いは銀行振込のみとなります(クレジットカード払い不可)。
・申込者には、詳細決定後メールにてお支払い方法をお知らせします。11/12(水)までにお支払いください。

■領収書および請求書について
・必要な方には領収証を発行いたします。
・請求書の発行はお受付いたしかねます。

■キャンセルについて :
・キャンセル前提のお申込みはご遠慮願います。
・お支払い後のキャンセルにつきましてはお受け出来かねますので、何卒ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

■賛助会員の皆さまへ:
・2名まで「HCD-Net賛助会員」種別にて参加可能です。
・予め2名様を社内にてご調整をお願いします。

■その他
・オンラインでの参加はできません。
・やむを得ず開催中止となる可能性もございますが、その場合は参加費を返金いたします。


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