セミナー・サロン

Day1 2025年8月23日
「デザイン的思考法と価値探索のためのデザイン・リサーチ概論」
(2025年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day1)」開催レポート

本セミナーはHCD/UXDを体系的に学ぶための連続セミナーであり、2018年度の初回開催から8年目となる本年は第1回目と最終回である6回目のみ対面開催とし、2回目~5回目はオンライン(Zoom)で開催しました。 第1回目の8月23日は、会場にインフォバーン(東京オフィス)をお借りして対面形式で開催しました。

午前中はHCD-Net教育事業部の花田さんによるオープニングの後、運営メンバーと参加者による自己紹介を行いました。


続いて、メイン講師の井登さんより「連続セミナーのプログラム全体像の説明」とデザイン概論の講義が行われました。顧客にとって本当に価値となる顧客体験について、身近な具体例を交えながら解説いただきました。


午後は、チームビルディングの一環として、参加者が事前に作成した「自分史」を用いて自己紹介を行いました。これまでの経歴やUXデザインを知るきっかけなどを語り合い、初対面のメンバー同士で相互理解を深めました。

その後、井登さんによるリサーチの方法論に関する講義があり、続いてインタビュー演習を実施しました。講義の内容を参考にしながら各グループでインタビュー設計を行い、全体でディスカッションを重ねてインタビューの流れを完成させました。


そして各グループが担当する部分を決め、各グループが10分ごとのリレー形式でデプスインタビューの実査を行い初日のプログラムは終了しました。

セミナー後は懇親会が開かれ、他グループの参加者とも積極的に交流が行われました。
参加者はデザイン以外のバックグラウンドを持つ方も多く、学び始めたばかりの方、勉強中の方、さらに知識を深めたい方など、さまざまな目的を持って参加されていました。グループは当日に発表され、はじめは緊張した様子も見られましたが、時間とともに会話も増え、ランチを共にするなど積極的な交流が見られました。

Day2 2025年8月30日
「デプスインタビューを用いた価値探索~価値抽出」
(2025年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day2)」開催レポート

2回目のUXデザイン連続セミナーは、オンライン形式で開催されました。
Day2からは、与えられたテーマをもとに演習を進めていきます。過去7年間は全グループが同じテーマに取り組んでいましたが、今年はグループごとに異なるテーマに取り組む形式としました。

今回は、インタビューを実施し、KA法を用いて価値を抽出する演習を行いました。前半は、事前にSlackへ投稿された質疑への回答が行われた後、井登さんによるリサーチ・デザインに関するレクチャーがありました。


その後、グループごとにインタビュー設計を行い、Day1で築いた信頼関係をもとに活発な意見交換が行われました。インタビューは30分間ずつ2回実施され、調査協力者に対して共感を持ちながら深掘りするインタビューが行われました。

後半は、インタビュー内容から「ファクトイド抽出」とKA法を用いた「価値カードの作成」を行いました。KA法の説明の後、各グループで作業を進めました。KA法を初めて体験する参加者も多く、当初は作業が進みにくい様子がうかがえました。特に、価値の粒度を他のメンバーと揃える点に苦労されていたようです。


今回終わらなかった作業は次回までの宿題となりました。
セミナー後はオンラインで懇親会が行われ、セミナー内容の相談や仕事の話など、時間
いっぱいまで交流が続きました。


Day3 2025年9月15日
「価値の構造化とペルソナデザイン」
(2025年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day3)」開催レポート

3回目のセミナーはオンライン形式で開催され、「統合価値マップ」と「ペルソナ」の作成を行いました。
はじめに、講師の井登さんへの質疑応答があり、各グループが自主的に集まって作業した際に生じた質問に丁寧な解説がなされました。

前半では、インタビューから得たファクトイドを価値に変換し、グルーピングを行って「統合価値マップ」を作成しました。


井登さんからの説明の後、各グループで作業を進め、グルーピングが難しい価値は1つずつ議論しながら慎重に決定しました。
後半は「統合価値マップ」をもとに「ペルソナ」を作成しました。「葛藤や矛盾を抱えている場合は良いペルソナになる」というアドバイスもありました。


最後に、各グループが「どのような価値が浮かび上がったか」「解決が必要そうな、達成・実現されるとインパクトがありそうな価値の方向性」「どのようなペルソナが浮かび上がったか」について発表しました。

発表後は井登さんからフィードバックを受け、これをもとにペルソナを完成させることが次回までの宿題となりました。
セミナー後はオンラインで懇親会が開催され、セミナーを通じた質問や仕事の相談など、少人数ならではの深い話ができました。


Day4 2025年9月28日
「ユーザー体験の俯瞰的な可視化によるアイデア発想手法」
(2025年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day4)」開催レポート

4回目のセミナーはオンライン形式で開催され、「サービスコンセプト」と「サービスジャーニーマップ」の作成を行いました。はじめに、参加者からの質疑への回答が井登さんから行われ、特にジャーニーマップに関する質問が多く寄せられました。前半は「サービスコンセプト」の説明があり、「これまでのワークを通じて得られたものをアイデアとして形にするステップ」であるという解説がありました。


続いて、各グループに分かれて演習を行い、Day3で作成したペルソナに立ち返りながら「ペルソナのどんな思いや期待を充足させるべきか」「そのための製品やサービスはどのようなものか」を検討しました。

後半のはじめは「サービスジャーニーマップ」の説明があり、再び各グループで演習を行いました。


参加者は、ジャーニーマップとしてどのようなフェーズを表現するかに苦労していましたが、「ペルソナがテーマと関わる期待、達成、困難・解決を要する状況や、それらを乗り越えたり、苦労したり、乗り越えられない場合に別の道を模索するなど、状況を想像しながらプロットすると良い」というアドバイスがありました。

最後に各グループのコンセプト作成状況を発表し、Day4は終了しました。セミナー後はオンラインで懇親会が行われ、運営メンバーや受講者同士の交流が深まりました。


Day5 2025年10月13日
「キーモーメントの策定から具体化とアイデアの拡張発想とプロトタイピング手法」
(2024年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day5)」開催レポート

5回目のセミナーはオンライン形式で開催され、「サービスジャーニーのブラッシュアップ」「解決のためのアイデアづくり」「キーモーメントの策定」「プロトタイピング対象の明確化と定義」を行いました。

前半は、事前にSlackへ投稿された質疑への回答が行われた後、井登さんによる演習がありました。


その後、グループごとに「サービスジャーニーのブラッシュアップ」と「解決のためのアイデアづくり」を行いました。

後半は「キーモーメントの策定」と「プロトタイピング対象の明確化と定義」を行い、井登さんから最終回の発表について説明がありました。その後、各グループで作業を進め、今まで決めてきたことを振り返りながら、プロダクトの機能などについて慎重に話し合いました。グループ内で職種や得意分野を共有し、実現可能なプロトタイプや最終回での発表方法を明確にしていきました。


井登さんからは、「ペルソナを主人公としたとき、私たちの提案する価値(プロダクト、ソリューション、サービス)によって、その提案がなかった時と比べてペルソナにどのような変化・変革が起こるかを考えると良い」というアドバイスもありました。

セミナー後はオンラインで懇親会が行われ、グループを超えた参加者同士の交流が深まりました。


Day6 2025年10月27日
「プロトタイピングによるエバリュエーション手法」
(2025年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day6)」開催レポート

最終回となる6回目は、10月27日に対面形式で開催しました。Day1同様にインフォバーン東京オフィスに集合して実施しました。
今回は「成果発表~相互評価」という形で、Day1からDay5までの総決算となるグループワークの成果発表が行われました。
午前中は各グループで午後の発表に向けて準備を行い、最終調整のため集中してグループワークに取り組む様子が見られました。


午後は6つのグループが、順番に成果発表を行いました。与えられたテーマに対してDay1からDay5までに検討してきた「どのようなペルソナのどのような課題を解決するか」「課題を解決するためにどのようなサービスを提供するか」「サービスコンセプトやジャーニーマップはどのように設計したか」などを発表しました。


昨年同様、Day6は対面での開催であったため、アクティングアウトを披露してサービスの利用シーンを伝えるグループもありました。


また、今年も生成AIを用いて発表資料を作成したグループが多く見られました。生成AIで作成した動画によるプロトタイプ発表もあり、昨年よりもさらに生成AIが幅広く活用されている様子がうかがえました。
発表後には井登さんから「手詰まりになったら一つ前のステップに戻る」といった、作りながら考え直すことの重要性についてアドバイスがありました。
最後に、全6日間の内容を通して浮かんだ疑問や感想を参加者から共有いただき、本プログラムは終了となりました。

セミナー後は懇親会が行われ、グループワークでの進め方や苦労したことを共有するなど、グループを超えた参加者同士の交流が深まりました。


2018年から続く本セミナーは、今年も参加者の皆さまの熱意や頑張りに支えられ、無事に終了することができました。講師・運営メンバー一同、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
今後、本セミナーの参加者の皆さまが学んだことを現場で活かされることを期待しています。


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