HCDコラム

最近、スチームアイロンを買った。きっかけは、アイロンがけが面倒なせいで、せっかく買った服を着なくなったり、買い物の際にアイロンがけしなくてもいい服を選択する癖がついて、好きな服を選べなくなったりしているのが嫌だったこと。

そんな際に、テレビショッピングで見たのが、ハンガーに掛けたまま手軽にシワが伸ばせるというスチームアイロン。「簡単にシワを伸ばせます」と言っているものの、値段は3000円台程度で、今ひとつ信用出来ず…

次にネット検索して色々な評判をチェックするものの、賛否両論あって、どちらかと言うと良くないコメントも目立ち、あまり実感が得られずにモヤモヤした気持ちに。

翌日には近所の家電量販店へ。いくつか製品が置いてあるものの決め手に欠け、4月にパナソニックから新製品が出るとのポスターがあり、しばらく待つことに…

そして4月、値段は他社より圧倒的に高いものの、この会社の新製品でこの価格なら良いものに違いないという期待と、ピンクゴールドの可愛い見た目にも惹かれて購入。

さて・・・使ってみたところ。ハンガーにかけたままの服にスチームをふきかけるというまさにアイロンの新しい体験!きれいにシワも伸びるし、ちょっとプロっぽい感じもあって、プリーツのブラウスから綿トレーナー、シルクカーディガンまで色々な服に試して、楽しんだ。

そして、使用前・使用後を写真にとってFacebookへアップ。すると、あっという間に、「私も気になっていた。レポートありがとう」「一人暮らしの娘に情報提供中」「使い方を教えてほしい」「舞台衣装によさそう」「2年前から使っている」「購入考えます」等々のコメントがついて、「TVショッピング状態ですね」というコメントも・・・パナソニックさんの売り上げにいくらか貢献したのではないかと思われる。

と、スチームアイロン購入前後に感じたこと、考えたことを記載してみたが、いくつか気づいた点がある。SNSの反応を見ると、やはりリアルな体験を伝えることが、人の気持ちに一番訴える力があること。最初に反応したTVショッピングは、少々うさんくさいものの、コマーシャルのように綺麗に作られているものより、リアルさがあって訴求力を感じたこと。効能への期待(信頼感)と価格設定には、絶妙のバランスがあること。

当たり前のことばかりだが、体験とマーケティングとブランドについて考えたスチームアイロンの購入だった。


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