HCDコラム

私は某広告代理店グループ内にあるデジタルプロダクションの会社でマネージャーをしながらサービスデザイン、サービスグロース、オウンドメディア構築のコンサルティングなどをUXデザインアプローチで実行する業務に携わっています。ここ1、2年ほどはクライアントの新規事業開発やサービスデザイン、サービスグロースの業務に注力していますが、ウェブサイトのリニューアルのようなご依頼も数多く頂戴しています。

「ウェブサイトのリニューアル」というと、一般的に情報設計、デザイン、実装という工程で実施され、ユーザビリティ、構造、ラベル、コンテンツ、デザイン(ビジュアル)などがユーザー体験を生み出す要素であり、考えるべき対象となることが多いです。

実際、私たちの会社でもそうなのですが、私はUXデザイナーがより重要な役割を担うことができるのではないか?と思っています。

ウェブサイトのリニューアルでも、要件定義の中で「ウェブサイトはビジネスにどのような形で貢献するのか」、「どういう状態になれば成功と言えるのか」といった「あるべき姿」や「ゴール」を描きます。

私はここのフェーズでのリサーチを提案・実施することが多いです。リサーチの内容としては、サイト内行動やUIの善し悪し、ユーザビリティにフォーカスするようなアクセスログ解析、ユーザーテスト、ABテストなどではなく、クライアントの製品の購入やサービスの利用(開始・継続)を、生活者がどのような体験を通じて行っているか、その根底にある価値観はどんなものかを調べ、リニューアルコンセプトの策定につなげる、デプスインタビュー中心の「生活者の体験や価値観に関するリサーチ」です。

昨年、とある企業様からウェブサイトリニューアルのご相談を頂きました。その時点でお考えになっていたのがお化粧直し的(表面的)なデザインのリニューアルでしたが、簡単にリサーチしてみたところ、そのウェブサイトの主たる機能やコンテンツが、クライアントの関連企業のサイトに高いクオリティで存在しておりました。さらに、生活者のニーズを念頭において検索してみると関連企業のサイトが上位に上がってきている状態で、クライアント企業様のサイトの存在価値が薄らいでいる可能性を感じました。

そこで私たちは、生活者がクライアントの製品を購入するときのフローやその時のニーズ、フローの中で生まれている接点などをリサーチし、クライアントの製品購入検討行動において、関連企業サイトとの役割分担をしながら、いつ、誰に、何を提供するべきかを策定すること=ウェブサイトの役割再定義(リフレーミング)をご提案し、実施することになりました。

ウェブサイトのお化粧直しのようなリニューアルで良いのであれば、ここまでしなくても良いかもしれません。が、成果を出す上では、生活者と企業の接点の作り方や、生活者にとってウェブサイトが果たすべき役割を改めて考えることが重要であり、その中でUXデザイナーが果たす役割は大きいと考えています。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。