HCDコラム

新型コロナウィルス流行の影響で、会社がテレワークを導入してもう半年以上になりました。最初の1か月ほどは、家で仕事をするというのになかなか慣れず、早く会社に行きたいと思いましたが、今やすっかり、オンライン会議とチャットで仕事をこなす毎日です。半年を振り返ってみると、想像していたよりは仕事はできているものの、何か記憶に残らない、何も思い出せない半年な感じがします。オンライン会議は基本音声のみで実施しており、メンバーの顔も表情も、会議室の雰囲気も、前後の雑談も、ちょっとしたハプニングも何もないと、すべての打ち合わせが同じになって記憶に残らないのかもしれません。案外これまでの仕事も「あの時、〇〇さんが変な事言ってたな」「あの打ち合わせで、眼鏡が割れちゃって」のような余分なエピソードや、会議の雰囲気、部屋のレイアウト、気温、雑音など視覚、触覚、嗅覚の様々な情報がインデックスになって記憶されているのだな、と思いました。このままメリハリのない何も思い出せない日々が積み重なると、ちょっと恐ろしい気がします。

一方で、仕事ではない”ニューノーマル”にはいくつかの工夫に心を動かされました。騒動の初期にはクラスター発生がニュースになったスポーツクラブ。私が通っているスポーツクラブは、6月から再開しましたが、やはり感染対策には非常に気を使っている印象を受けます。検温、確認票の記載の他にも、アルコールと小さなタオルがあちこちに大量においてあって、マシンや器具、マットは、各自で使う前と後に消毒します。スタジオプログラムは定員制になって整理券が必要になり、間隔も30分あけて清掃と換気が行われます。髪の毛さえ落ちていないような清潔で広々とした空間で運動できるのは、以前よりもむしろ快適にも感じます。また、夏に泊まったホテルの朝食バイキングは、入店時間が30分間隔で区切られており、バイキングのコーナーに入る際には、店員から一人一人に使い捨ての手袋が手渡され、それをつけて料理を取るようになっていました。朝食バイキングは好きなものを色々食べられる旅行の楽しみの一つでもあるので、こういう形でも実施してもらえるのは良いと思いました。複数人での飲食は今でもかなり神経質になりますが、お店を探す時には、「***(場所)一人一皿」「***(場所)取り分け不要」と検索するとお店の対応なども出てくるので、それを読んで決めるようにもなりました。

新型コロナウィルス流行はまだ続きそうで、仕事でもプライベートでも自分なりの工夫を見つけていく必要がありそうです。今年のHCD-Netフォーラムはまさに「ニューノーマル」がテーマなので、様々な話を聴きながら考えていこうと思います。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。