HCDコラム

今年3月、私の会社でグラレコの実践講座を開催し、200人以上の従業員がオンラインで参加しました。このコラムでは、グラレコ講座と学びのコミュニティを立ち上げるにあたって工夫したことを共有します。

グラレコとはご存じの通り、議論や講演をイラストや図を使って可視化する手法で、私の会社でも様々なイベント等で以前から盛んに用いられてきました。グラレコ界隈の有名人もいます。そのため、みんなグラレコに関心が高いものの、自分でやるのは気おくれしてしまう、絵心がある人のための手法だ、と捉えがちでした。

まず、やる前からの気おくれを何とかしたい。

その解決策として、「グラレコはこうじゃなきゃいけない、と無意識につくっている壁を取り払って、自分らしく、やわらか~くグラレコを学びましょう!」と呼びかけ、「やわらかグラレコ講座」と銘打って参加者を募集。その結果、自分らしいグラレコをマスターする夢をもった多くの社員が申し込んでくれました。

解決したかったことのもう1つは、学びの継続です。

大抵のウェビナーは、受講したときが一番盛り上り、そのあとスーッと潮が引くように日常に戻され、グラレコなどは特に、練習し続けないと身につかないスキルなのに忘却のかなた、楽しい思い出になってしまう。どうすれば講座が終わっても練習を続けられるでしょうか。

そこで、講座をスタートする直前から、参加メンバーを母体としたチャットグループをMicrosoft Teams上に立ち上げました。講座への期待感を意見交換しながら講座開始を待ち、講座期間中は練習成果を画像投稿しあって盛り上がり、講座終了した現在でも、「グラレコにおすすめの文具、書籍」「子供とおしゃべりしながら描いてみた」「ウェビナー聴きながら描いてみた」など学びが継続しています。リアルなコミュニティに負けず劣らずの盛況ぶりを維持しながら、メンバーは300人を超えました。

コミュニティメンバーのほとんどは、やわらかグラレコ講座をきっかけに描き始めた人たちなので、「ヘタウマ上等!」とばかりに「描いてみました」と堂々とグラレコを披露しています。それを仲間たちが「いいね」「ハート」を次々に送り、それに勇気をもらった他のメンバーも自分のグラレコを投稿していく、心理的安全性のループが回っています。

以上、似たようなニーズを持つみなさまのご参考になればと共有させていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。