HCDコラム

業務サポート、システム開発・導入等が多い仕事なのですが、その中で従来の課題解決のアプローチだと上手くいかないことが多々あり、課題解決アプローチを変える試みに挑戦しています。

従来のアプローチとは、問題を静的に細分化し、原因・結果分析、PDCAのようなやり方です。一方で試みているものは、なるべく問題をそのままとらえるために、その中でのコミュニケーションとそこから発生する関係性に着目した課題発見、および関係性を変化させる課題解消のアプローチです。

近い考え方として、人体(NHKスペシャル)(2017年-2018年放送)で紹介された「メッセージ物質」が臓器を形成するというものがあります。「メッセージ物質」をコミュニケーション、「臓器」を関係性とし、病気や不調などを「問題」として見立てるとわかりやすいと思います。

今回は、コラムの文字数制限のため「従業員の負荷状況の改善施策の検討」を取り上げ、課題発見にフォーカスし、説明します。

従業員の仕事の負荷が高いという状況があり、それの解消ために業務支援を行っています。当初は従来のやり方(状況把握のための調査、その結果を受けて施策立案・実行)で実施しました。出てきた施策は、作業効率化のためのツール導入・作業軽減のための業務の廃止です。ところが、このような施策はやりつくされており成果が上がりにくいです(従来と同じアプローチのため、上手くいかないのは自明ですね)。

私のアプローチは、問題が発生する仕事の性質や成り立ちに着目しました。そうすると、仕事は個人(上司)対個人(部下)間のコミュニケーションの連なりで関係性が生成され、そこから仕事が発生するという状況がわかります。さらに見えてきたコミュニケーションの種類(いつ、どこで、どのようなやり取りをしているのか)を深堀すると、関係性がわかり負荷が掛かる状況も見えてきます。この状況を変化させる施策が打てれば、仕事の負荷を削減できます。このように私たちの仕事は個人間のコミュニケーションで関係性が生成され、そこから仕事上の問題が発生します。これらをありのままとらえることができれば、課題解消に繋がると考えています。

またの機会に、リデルハートの間接的アプローチを応用した課題解消のアプローチを紹介します。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。