HCDコラム

1. 実践できる専門家はまだわずか

HCD とはHuman Centered Design の略で「人間中心設計」を意味します。学界ではヒューマンインタフェース、人間工学、デザイン、認知科学などの各分野において、HCD に関わる専門的研究などの活動が進んでいます。しかし、日本の産業界でHCD を実践できる専門家はまだ少数です。そのためほとんどの商品やシステムは、HCD の専門家がたずさわることなく世の中に送り出され、わかりにくい、使いにくい、使えない商品やシステムが世の中にあふれることになっています。

2. モノの進化とともに浮上したHCDの問題

図1

ここでいう「モノ」とは、ソフトウェアやサービスを含む、機器・システムの全体を指します。昔のモノの多くは、HCD が問題になることはありませんでした。しかしモノは常に変化しています。新しい技術による高度で複雑なモノは、従来の考え方だけでは、ユーザーにとっての使いやすさや欲求を十分に満たせなくなってしまいます。

3. 課題は産業界の啓発と専門家の育成

今後の製品開発にHCD を反映させていくためには、産業界での経営者への啓発活動、開発管理者や設計者の知識・能力向上教育、そしてより多くのHCD 専門家を育てるための教育活動が重要です。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。