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本コーナーでは、ユーザーを意図しない意思決定へと誘導し、企業にとって都合のよい結果となるようにする「ダークパターン」について、株式会社コンセントで収集している国内外の動きやイベントなどの情報の一部を抜粋してお届けしています。
■競争政策研究センター「ダークパターンを巡る競争政策及び独占禁止法上の論点」(2025年5月29日)
公正取引委員会 競争政策研究センターが、ダークパターンを巡る競争政策及び独占禁止法の論点に関する調査研究を行い、その結果をまとめたディスカッションペーパーを公開しました。
ダークパターンの定義や類型の他、EUやシカゴ大学、OECDで行われたダークパターンの効果についての実験例とその結果、特定商取引法や景品表示法をはじめダークパターン規制につながる法令とその措置事例や使用防止に向けた民間の取り組みといった国内の動き、米国・欧州・韓国におけるダークパターン規制を巡る動向がまとめられています。
また、ダークパターンを使用する業者が、使用しない業者に対して競争上優位に立つ可能性があり、期待される自浄作用も次々に新しい商品が投入される市場においては限定的である等、ダークパターンによる競争政策上の懸念と論点が考察されています。さらにその懸念に対して、現行の独占禁止法でいかに対処し得るか、ダークパターンの7つの類型ごとに独占禁止法で禁止されている各行為類型の関係が整理されています。
▷ディスカッションペーパー「ダークパターンを巡る競争政策及び独占禁止法上の論点」
https://www.jftc.go.jp/cprc/reports/disucussionpapers/r7/index_files/CPDP-101-J.pdf
■欧州消費者保護団体BEUCが、Sheinがダークパターンを使用しているとして、欧州委員会等に苦情申し立て(2025年6月5日)
欧州の消費者保護団体のBEUCが、21カ国25の会員とともに、中国のオンラインファストファッション小売業者であるSheinがダークパターンを使用しているとして、欧州委員会および欧州の消費者保護当局に対して苦情申し立てを行いました。
BEUCは、Sheinに対して「コンファーム・シェイミイング(羞恥心の植え付け)」「無限スクロール」「ナギング(執拗な繰り返し)」などの使用中止の要請をするよう求めています。またSheinが消費者に繰り返し表示している「在庫僅少メッセージ」や「カウントダウンタイマー」等について、それらが真実であり信頼できる情報に基づいたものであることを示す証拠の開示を要求し、立証できない場合はこれらの使用を中止するよう要請することも要求しています。
プレスリリースとともに報告書「ファストファッション大手SHEINはいかにしてダークパターンを使い、過剰消費を推し進めるか?」も公開し、ファストファッションの加速による消費者の衣料購入行動の変化やダークパターンが及ぼす影響についての考察とともに、BEUCの各国会員が行ったSheinのウェブサイトとモバイルアプリを対象とした調査結果や、EUの法令である不公正取引方法指令(UCPD)のダークパターン問題への適用の可能性についての洞察などをまとめています。
▷プレスリリース「Consumer groups file complaint against SHEIN for dark patterns fuelling over-consumption」(2025年6月5日)
https://www.beuc.eu/press-release/consumer-groups-file-complaint-against-shein-dark-patterns-fuelling-over-consumption
▷報告書「How fast fashion giant SHEIN uses dark patterns to push over-consumption」
https://www.beuc.eu/sites/default/files/publications/BEUC-X-2025-051_How_fast_fashion_giant_SHEIN_uses_dark_patterns.pdf
■研究論文「動画広告における打消し表示の文字サイズが視線停留と記憶に及ぼす影響」
(北海道大学大学院文学研究院 河原純一郎教授、中京大学心理学部 伊藤資浩任期制講師)
※2025年3月10日『心理学研究』掲載
例えば「通常価格から30%割引」といったような魅力的な内容を訴求する強調表示に対して、「30%割引は会員限定」といった強調表示の条件等を記載する「打消し表示」。動画広告におけるこの「打消し表示」の文字サイズが、視聴者の視線停留時間と意識的想起・再認に及ぼす影響について研究された内容がまとめられている論文です。
研究結果からは、打消し表示の文字サイズを拡大することで視線停留時間や再認成績の改善が一部で見られたものの、その効果は広告内容等に依存する限定的なものであり、文字サイズを拡大することが必ずしも打消し表示への安定した注視の誘導や表示内容の記憶(特に意識的想起)を保証しないことが明らかになったことが考察されています。また、「打消し表示の認識において視聴者にいかに注視させるかがポイントになる」ということも示唆されています。
▷研究論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/advpub/0/advpub_96.24004/_pdf/-char/ja
■JIPDEC「デジタル社会における消費者意識調査2025」(2025年4月24日)
個人情報やプライバシー、生成AIやAIエージェント、ダークパターンなど、デジタル社会で注目されている課題への意識や実態を探るため、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が全国の18歳から70代の男女を対象に実施した調査の結果が公開されています。
ダークパターンについては、遭遇した際に、購入・登録・問い合わせに関してどのような「対応」をとったのかと、どのような「気持ち」を抱くかについて調査した内容が分類例ごとにまとめられています。
▷プレスリリース
https://www.jipdec.or.jp/news/pressrelease/20250424.html
※本コーナーでご紹介している記事のうち日本語以外で書かれているものは、機械翻訳による和訳をもとに要約しています。もし誤訳がございましたらお知らせいただけますと助かります。