HCDコラム

ショートコラム Vol.108

 今月のショートコラムは、畠山 初美氏の「意見を聞く/行動を観察する対象としての「50代」」です。(Vol.108)

  ユーザーの意見を聞いたり行動を観察したりするとき、あなたならどのくらいの年齢の人を選びますか。「30代から40代前半」「60代~70代」を選ぶ人が多いのではないでしょうか。

  理由を想像すると「30代くらいになると人間ができてきて、的を射た適切な意見を言ってくれる人が多い。理解や作業も早いし、評価もスムーズで効率が上がる」「高齢化社会でシニアはこれからますます注目しなければならない。シニアの意見/行動観察は大事」。開発を担う立場からしても「30代にも使いにくいとはけしからん!製品側に問題がある」「シニアにやさしいHCDこそ、あるべき姿である!」と。

  ところで、私のような50代のおばさんがもたもた評価していたらどうでしょうか。「おばさん、しっかりしてよ!遅いし理解は悪いし、その上いらない心配ばかりして、評価がはかどらないじゃない」ということになるのでは。おじさんなら「おじさん、現役でしょ?こちらのいうことを素直に受け取って評価してくれればいいのよ、薀蓄ばかりで扱いにくいんだよねー」と。

  ですが、50代はそういう年代なのだと思います。ITリテラシーは若い人ほど高くないから概念がつかみにくい、概念がつかみにくいから応用が利かない、となります。老眼で細かい部分が見えないから、注意力が劣るように思われてしまいます。人生経験がある分、いろいろなことが気になってしまいます。

  “50代にも優しいHCD”という観点を少し意識していただけると、私たち50代にとって、少し住みやすい世界になりそうです。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。