HCDコラム

  ユーザインタフェースを改善する仕事に携わっていて気になるのは、プログラミング言語やAPI (Application Program Interface)のユーザビリティの改善が一向に進みそうにないことです。満を持してアップルがiPhoneアプリ開発者向けに提供したSwift言語にしても、「!」や「?」などのオプショナル記法が導入されていて分かりやすいとは言いがたい印象です。このような世界に一石を投じるものとして、最近その存在を知ったのが、フィンランドのLinda Liukasさんが始めたハロールビープロジェクトです(http://www.helloruby.com/)。このプロジェクトの活動が優れたUXに通じるというお墨付きはまだありませんが、間違いなくそうなるに違いないと私は信じています。このプロジェクトは世の中にコンピュータが増え続けていくと、私たちが言葉を使うように、将来的には子供もプログラムコードを使うようになる、という考え方からスタートしています。

  子供向けの絵本というと、まさにストーリーテリングの世界なのですが、この絵本というストーリーテリングのインタフェースを通じてコンピュータ、特にソフトウェアの複雑な概念を理解させようとしています。特に感銘を受けたのは、ガーベッジコレクションやオブジェクト指向プログラミングの概念を小さな女の子の視点から説明しようと考えてルビーという小さな女の子の冒険物語となる絵本を作ったことです。また、この世界のフィロソフィは、好奇心(Curiosity)、遊び心(Playfulness)とルール(Rules)の3つで構成されていますので、楽しくソフトウェア作りに取り組むことができそうなことから、大学におけるプログラミング教育の参考になりそうな点にも注目しています。

 


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。