HCDコラム

私は現在、4歳と1歳の子育て真最中ママです。普段こどもたちと過ごしていると、様々な場面で「なるほど!」と思わされるGood Designがたくさんあります。今回は子育てで感じたHCDについて記述したいと思います。
突然ですが、私は、子育てには“ユーモアのある誘導”が有効だと感じています。可愛い我が子、親は心配し過ぎることはないくらい心配するものです。ですが、子供は注意をすれば嫌がるし、楽しさがないと全くやる気は起きません。子供は非常に厄介な生き物です。
そんな厄介な生き物がたくさんいる幼稚園や児童館には、考え抜かれたアイデアがたくさん隠れています。いくつかの例をご紹介します。

①おもちゃの片付けは、実際に片付けられている棚の写真が貼られているので、その写真通りに片付ければ2,3歳児でも片付けられる。

②個人を特定するために、イヌ、ネコ、飛行機など全員1人1つの動物や乗り物などの対象が与えられている。下駄箱、コップ置き場、ロッカーなど自分の名前が読めなくてもどこが自分の場所かすぐにわかる。

③メタファを使って誘導すれば自然と体は動く。例えば、送り迎えの時に母親からなかなか離れない子供には配達員になってもらう。教室にいるお友達までどんぐりを配達してもらい、その間に母親は退散する。

④案内の掲示物には動物さんと風船は必須。初めてのイベントだと特に緊張する子供も多く、部屋に入るまでが一苦労。楽しい雰囲気を作り出すために、建物入口から廊下の壁、そしてお部屋入口まで飾りつけることで参加を促す。

⑤イベントの始まりは手遊び歌が有効。曲をかけることで耳から意識を切り替えるので、走り回っている子供たちも思わず足を止めて意識を先生に向ける。

⑥靴置き場は看板・仕切り線ではなく、黒いシートを引いて面で見せる。シートに靴が乗っていれば自然と後から来た人もシート上に靴を置いていく。

安全に楽しく子供社会を整えるための、これらアイデア・視点は、子供の世界だけに留めるべきではないと考えます。体が不自由な高齢者や、日本語がわからない海外からの移住家族など近年では様々な方が同じ地域社会で暮らしています。そんな多様な地域社会に、もっと積極的にユーモアのあるデザインを取り入れていくべきだと思います。そうすれば、みんながわかりやすく、安全に、そして、笑顔のある生活を過ごせるのではないでしょうか。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。