HCDコラム

こんにちは。私たちはU’eyes Designでイノベーションを推進するためのチームデザインの支援を行っています。イノベーション創出や新価値創造にむけて、人間中心の考えやデザイン思考のプロセスを適用している組織は増えてきましたよね。しかし、どんなプロセスでイノベーションに挑むとしても、イノベーション推進に共通する大切なポイントがあります。

それは、チームの中に「衝動に駆られるようなアウトカムがあるか?」ということです。

アウトカムとは、コミュニケーション心理学でも使われる言葉ですが、私たちは「実現したい未来像や究極の目的」という意味で使っています。イノベーションを実現するには、仮説を描いて社会に問う姿勢、社会とコミュニケーションをとって仮説を修正していく真摯な態度と粘り強さが必要です。一度や二度のPoCや実証実験で正解を見つけることは困難で、協力者を得ながら必要なスキルを得てあきらめずにやり続けることこそが可能性を高めてくれます。不確実性の高い環境下でPJを推進するためには「この課題を何としてでも解決したい、こんな未来を自分たちが実現したい」という、突き動かされる理由(強い衝動)をチームでもっていることが、効果を発揮します。それがないと、人間はやらない理由や、やめる理由を見つけてきて、道半ばで簡単にあきらめてしまいますからね。

そんな、衝動に駆られる究極の目的(アウトカム)は、どうしたら作れるのか?気になりませんか?私たちは次のような3つの切り口で、アウトカムデザインをサポートしています。
①自分自身を内省し、価値観や琴線を再認識し、さらに仲間の価値観や琴線も同じように確認し共有する
②今社会に起きている課題や痛みを確認し、共感するものを見つける
③自分やチーム・所属する組織に、どんな力があるのか、コンピタンスを見つめなおす
自己を開示して仲間と対話することで、紡ぎ出していく作業が、遠回りのようで実はとても効果的なのです。
身を切るような作業になることもありますが、一度着火した衝動の火種は、簡単には消せないレジリエンスの源泉になります。

この方法は、イノベーションを起こす「チーム」に着目した、きわめて人間中心設計的な経営の在り方なのだと、そう考えています。人間中心設計をプロダクトやサービスを作る側面だけでなく、組織やチーム、働き方を捉えなおすためにも、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。