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コロナ禍も空けて、結婚式・披露宴が回復傾向にあるそうです。
今回はそんな披露宴の催しのお話から、人間中心設計を語りたいと思います。
両親に兄弟が多いこともあって、幼稚園の頃から参列する機会が多くありましたが、毎回披露宴の中でモヤモヤとする催しがありました。
その催しとは、新郎新婦の友人や親族による『余興』です。
大人になり、友人たちの披露宴に参列することになったとき、幼い自分が感じたモヤモヤの正体がわかりました。
余興は、当たり前ですが新郎または新婦のためのものであり、大半の参列者はターゲットではないことがほとんどです。
同じ催しでも挨拶は新郎新婦の知らなかった過去や新たな一面を知ることができますが、余興は新郎新婦と親族や友人との間にある歴史と関係性で築かれた、いわゆるお約束やギャップを持ち合わせていないと楽しみ方が難しくなってしまうこともあると思います。
余興する方々の背景や新郎新婦との関係性がわからない、つまりターゲットから外れた幼い自分は、その楽しみ方がわからず、モヤモヤしていたのです。
そんな気づきを得ていたところ、自分が結婚式・披露宴を行う側になりました。
披露宴に余興を入れる場合、参列者全員に歴史と関係性がある人って誰だろう?結婚式・披露宴の中心にいるのは?と考えたとき、ひとつの答えが見つかりました。
それは、確実に参列者全員の中心にいる『新郎新婦が余興をすればいい』という答えです。
そこでひらめいたのが、『お色直し後に新郎新婦がふたりで歌いながら登場する』というサプライズ感もある余興でした。
幼い子どもたちも含む参列者全員が知っていて、さらにあると思わないところで突然歌い出だす、笑いの基本となる緊張と緩和まであります。
披露宴当日、お色直しで和装から洋装に着替え、会場のドアが開くと同時に「ふたりの愛ランド」を歌い踊り、会場を歩き回りました。
それまで落ち着いた雰囲気だった会場が、子どもたちも含めた参列者全員の大きな笑い声に包まれる、今まで経験したことのない熱狂の余興になりました。
数年経った今でも話のネタにされているくらいです。きっと幼い自分が見ても、モヤモヤせずに楽しんでくれたことでしょう。
参列者全員のニーズに応える、大げさに言えば人間中心設計を考えることの大切さを知る、大きな経験になりました。