HCDコラム

ご承知のように、昨年・今年とHCD-Netフォーラムはオンラインにて開催(今年は、ごく一部に、ハイブリッドを導入)されました。オンラインでは、話者と参加者が「1:n」の構図になりがちで、参加者同士が自由に交流する時間が失われてしまいます。リアルであれば、その場で顔を合わせた人同士が雑談を交わすことがあります。“さっきの話、どう思う?”、“実はちょっと相談があるんだ”と、具体的な動きがここから生まれることもあります。実際、今年のリアル会場でも交流の様子が見られました。そうしたことが、イベントの醍醐味の一つだと思います。

新型コロナウイルスのオミクロン変異株の猛威に見舞われ、まだまだ終わりの見えないコロナ禍で、各種会議やイベントの「オンラインとリアルとの使い分け」が、新たなテーマとなっています。コロナ禍前のようにリアル開催するか、またはオンライン開催するか、それともハイブリッド開催がベストなのかは、状況やイベントの特性、開催エリアなど複合的な要因によって判断基準が変わるでしょう。HCD-Netフォーラムも同様に、ウィズ/アフターコロナ時代に沿ったフォーラム開催方法を模索していくことが求められます。

HCD-Netフォーラムも本当は参加型のイベントだと思っています。とはいえ、こうしたイベント類がリアルのみに戻ることは無いとの見方が巷では大勢を占めています。そこで考えられるのがハイブリッドです。オンラインでは利便性、リアルでは臨場感がもたらされます。ハイブリッド開催によってそれぞれの強みを同時に活かすことが可能になり、新たな価値を参加者に提供できる可能性が出てきます。

しかし、ハイブリッド開催にあたっては、運営のオペレーションがオンライン開催に比べて複雑になり、ノウハウがなかったり人手が足りなかったりで、運営側が困る事態も予想できます。また、参加者のオンラインイベントへの要求レベルも上がってきていて、参加者視点での音声、配信映像の質の向上を図る必要もあります。そんなときは、準備や運営といったイベント運用を外部に委託するという選択肢もあります。イベント運用サービスを利用することでさまざまな課題を見える化し、運営側の負担を軽減できますが、その費用は参加費に関わってきます。どこまで費用をかけてよいのか?“言うは易く行うは難し”。広報社会化事業部長として、悩ましい限りです。


HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。