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最近、業務の中でAIに相談に乗ってもらうことが日常になりました。情報の整理や構造化を手伝ってもらったり、新しい視点を提供してもらったり、気軽に質問に乗ってくれるAIは、心強いパートナーです。
そんな中で、ある問いを抱くようになりました。「AIというパートナーがいる時代において、”よい会議”とはどのようなものになるか」これまで、会議といえば課題を持ち寄って情報を交換し、解決を目指す場でした。しかしAIに気軽に相談し、解決できるとなれば、人が会議に求める機能や意味合いも変わっていくはずです。
そのように考えたきっかけは、私がメンターをしている後輩社員との定期的な1on1でした。週に1時間程度、自由に話す時間を設けているのですが、あるとき「わからないことがあるので相談したい」というやり取りが減っていることに気づきました。気になったので聞いてみると「困ったらAIに質問して、自ら解決しているので、特に持ち寄る相談がない」とのこと。なるほど、私自身も同じようにAIを頼っているので、とてもよくわかりました。
それ以降「問題を把握して解決する」ことを会話の中心に据えるのはやめました。 代わりに、最近の活動や考えていることを自由に話してもらう時間を増やすことにしました。私はただ聞いて、思ったことを返すだけ。狙っているのは、話すうちに、本人が自分の体験を整理し、その意味に気づいていくこと。また私のリアクションを見て、自信を持ったり、ちょっと勇気が湧いたりする。そんな作用です。
大切なのは、会話を経て、本人の行動が前に進むかどうか、実践が促進されるかどうかです。そうした変化のきっかけとなるやり取りにこそ、これからの対話や会議の価値があるのではないか。そう感じるようになりました。
こうしたやりとりを経て「会議のエクスペリエンス」という言葉がふと頭に浮かびました。何を決めたかよりも、その会議を経て、何を感じたか。何を試してみようと思えたか。気持ちが整理されたり、視野が広がったり、「やってみよう」という感覚が芽生えたりする。そんな作用こそ、今後重要になるのではないか。
思えば、プロジェクトの大半は、会議そのものではなく、個人の作業や実践の時間です。だからこそ「よい会議」とは、そこで何が決まったかではなく、人が動き出せるかどうか。AIが思考の相棒となる今、会議はそのような視点で再定義されていくのかもしれません。一つの仮説です。