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国内の銀行業界はメガバンクをはじめとして規模は様々、多様な戦略が混在し、顧客は利便性を求めて自由に選択できる環境にある。金融商品の複雑化も進み、従来の対面主義からアプリ化等分散が進んでいる。但し、依然として多くのレガシーさが残る銀行内部では企画・実行に制約が付きまとい、プロセス変革が進まない状況と認識しており、推進力が不足しているのが現実だ。
自身もシステム企画支援の立場にてこの課題に直面しており、国内銀行が誇る「高品質な顧客体験」の中でHCDの浸透状況について強い課題感を持っている。
「HCD導入パターン初版」においては大規模銀行でもHCD成熟度は「レベル2(個人実践段階)」に留まる印象であり、経験則的にHCD思考な人物は極一部いるが、体系化・戦略化されておらず、プロジェクトの成否はそうしたキーパーソンを獲得できるかにかかっていると思慮する。
一方、HCD思考な人物は「未知への挑戦」に積極的で彼らの独自アプローチは魅力的だが、HCDの本質から逸れることもある為、期待と成果のギャップ管理が欠かせない。仮説構築と高速なHCD実践を通じて、彼らの興味を引き、仲間として巻き込み続けるアプローチを取る事が重要である。
まだ認知も活用実績も少ない状況がHCD浸透を妨げており、部署方針や文化的な壁もあり、組織横断的な推進は容易でない。それでも世代を超えた仲間づくりを通じて、確実にHCDの浸透は進んでいる。今後も「顧客体験を第一に据える姿勢」を持ち続け、地道に浸透を図りたい。