セミナー・サロン

「デザイン的思考法と価値探索のためのデザイン・リサーチ概論
(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day1)」開催レポート
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この連続セミナーは、コロナ禍の影響で2020年度〜2022年度はフルオンラインで実施しましたが、本年はチームビルディングを目的に、1回目のみ対面開催(東京開催)とし、2回目以降はフルオンラインで開催することにしました。
8月26日に、対面形式で会場にインフォバーン(東京オフィス)をお借りして1回目を開催しました。

冒頭は、HCD-Net教育事業部 花田さんによる「オープニング」の後に、スタッフと参加者から自己紹介、続いてメイン講師の井登さんより「連続セミナーのプログラム全体像」の解説と「UXデザイン概論」のレクチャーがありました。
本当に良いUXとは何か、たくさんの事例とそれらの要因について分かりやすく解説していただきました。



昼休憩後は、グループ内で各自が事前に作成した自分史を共有し合い、参加者同士の様々な背景や経歴を含めて相互に理解を深めていただきました。
その後、午前中に続き講師の井登さんから「新しい価値」と「意味のデザイン」について講義が行われ、続いて調査手法と価値の解釈について解説された後、インタビューワークショップの進め方について説明が行われました。

インタビューワークショップは、説明された「デプスインタビューのノウハウ」を参考にしながら、各グループで「問の目的」を考えながら設問を検討しました。その各グループの設問を集めて、全グループが一か所に集まって全員で議論しながらインタビュ―ガイドを完成させました。
そして完成したインタビューガイドを元にグループごとに分担を決め、それぞれ担当のインタビュー内容を作成し、順番にインタビューとその記録を行うところまで行い、初日は終了となりました。


セミナー後の懇親会は、積極的な情報交換やネットワーキングが行われ、対面開催の良さを感じました。

コロナ禍でオンラインでのセミナーが主流となり、場所によらず参加しやすいというメリットがある一方で、オンラインだと初めて会う人同士でお互いの理解や議論が深まりにくいという課題もあります。そこで、今回の連続セミナーでは初回のみ集合で開催することで、2回目以降のオンラインでのグループワークがスムーズに進むようにプログラムしました。
実際、会場でそれぞれにグループごとに着席して講義が始まった当初は、参加された皆さん緊張されていたようですが、各自が自分史を説明しながらの自己紹介で少しずつ打ち解けて、あちこちから笑い声も含めて盛り上がっている雰囲気が伝わってきました。
その後のグループでのワークも活発に進み、全体での議論の際もそれぞれのグループからリードする役割の人が意見を交換しながら場を形成していく様子がとても素晴らしかったです。

「デプスインタビューを用いた価値探索〜価値抽出
(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day2)」開催レポート
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9月2日に、オンライン(Zoom)形式で2回目を開催しました。
今回は、本ワークショップのメインテーマ『顧客のクオリティ・オブ・ライフ向上を実現・支援し、日々の生活における充足感を得ることができる製品・サービス・ソリューション』についてインタビューをするため、チームに分かれてインタビュー設計を行いました。

はじめにSlackで事前に投稿された質問への回答が行われました。次に、今回のグループワークの内容を講師の井登さんにご説明いただいた後、各グループでの作業を行いました。




まずは各チームで意見を出し合いながらインタビューを設計した後、調査協力者2名それぞれに対し、30分間のインタビューを行いました。
Day1でのデプスインタビューの反省を元に、信頼関係を築きながらユーザーのインサイトを発見すべくヒアリングを行いました。
インタビューの裏ではグループメンバー間でSlackやMiroを使いながら、逐語録を取り共有するなど、オンラインならではの情報共有が行われていました。

インタビュー終了後は、KA法を用いた価値抽出を行うため、グループに分かれてインタビューの内容をもとに「ファクトイド抽出」とKA法を用いた「価値カードの作成」を行いました。



KA法を初めて行う参加者も多く、進行する上で戸惑いもあったようですが、チームのメンバーと相談しながら価値カードの作成を進めていました。
今回、終わらなかったファクトイドの抽出と価値カード作成については次回までの宿題となりました。

今年度のUXデザイン連続セミナーでは、Day1で対面での交流がはじめに行われたのもあり、既にDay2の時点でチーム内で議論しやすい雰囲気が作られているのが印象的でした。
また、今年度の取り組みとして、講義内容に関する録画を参加者に事前に視聴してから臨んでいただくことで、グループワークの時間を増やす工夫を行っています。グループワークの時間において参加者に多くの学びを得てもらうために、運営スタッフも意識的にサポートする必要があると思いました。

「価値の構造化とペルソナデザイン(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day3)」開催レポート
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9月16日に、オンライン(Zoom)形式で3回目を開催しました。
今回は、「統合価値マップ」と「ペルソナ作成」をグループワークで行いました。
はじめに講師の井登さんへの質疑応答が行われました。質疑応答を通して、KA法による価値抽出の理解を深めることができました。

はじめに統合価値マップを作るため、Day2 で作成した価値カードの関連性や類似性を考えてグルーピングしました。



次に、事前の講義動画の復習としてペルソナの実務的な作成方法の講義を行ったあと、簡易フォーマットを用いて各チームでペルソナを作成しました。


作成を通じて、Day2で行ったインタビューの反省点の発見や、価値の選定で苦労している姿も見られました。

最後に、統合価値マップやペルソナをどのような考えを元に作成したのかを各チームに発表いただいてDay3は終了となりました。



ワークの時間内に作成が終わらなかったチームは統合価値マップとペルソナ作成をDay4までの宿題となりました。

ワークの後はオンライン懇親会が開催されました。チーム以外のメンバーとも交流し、意見交換ができる良い機会になったと思います。

ペルソナ作成は今後のサービスの方向性を決める大きな要素でもあることから、考え込んでしまって手が止まるチームも少なくありませんでした。
井登さんのアドバイスにもあった通り、作業に節目をつけて次のステップに進み、後から修正する進め方も必要だと考えています。チームの中で進め方を判断することが多いフェーズでもあるため、メンバをリードできる人の役割がより重要になると思いました。

「ユーザー体験の俯 瞰的な可視化によるア イデア発想手法(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day4)」開催レポート
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10月1日に、オンライン(Zoom)形式で4回目を開催しました。
今回は、「サービスコンセプトステートメント」と「サービスジャーニーマップ作成」をグループワークで行いました。

はじめに講師の井登さんへの質疑応答が行われました。質疑応答を通して、前回のお題となっていたペルソナ作成の意義や、それを周囲にどう伝えるべきか?について理解を深めることができました。

前半の演習では、コンセプトステートメントの作成ワークを実施しました。
画像はmiro上で行っていたワーク風景の一部です。こちらのグループでは前回考えたペルソナをベースにそれぞれのメンバーがステートメントを作成した上で、最終的にひとつのステートメントとしてさらにブラッシュアップしていきました。


後半はサービスジャーニーマップの作成ワークを実施しました。
ジャーニー作成では、コンセプトステートメントをはじめ、ペルソナやいのぼりさんの講義資料に立ち戻りながら、チームで少しずつ付箋を重ねていきます。


いきなりこのような最終形にはなかなかたどり着けないため、課題はそれぞれが持ち帰り、週末に集まって作業しているチームも多く見受けられました。

「ユーザー体験の俯 瞰的な可視化によるア イデア発想手法(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day5)」開催レポート
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10月14日に、オンライン(Zoom)形式で5回目を開催しました。
今回は、Day4で作成したカスタマージャーニーマップをブラッシュアップし、そこからアイデアを出していくワークを行いました。
はじめに講師の井登さんへの質疑応答が行われました。受講者の感じたUXデザインのインストールについての悩みや社内の調整、それらの対処法など、興味深い議論が広がりました。

ワークの前半は、カスタマージャーニーマップのブラッシュアップを行いました。前回の課題を空き時間に行なったチームはその共有をしながら、足りない部分や新しく出た気づきをマップに反映させていきました。
そこからアイデアづくりに入っていくのですが、どのチームも頭を悩ませつつ話し合いを進めていきました。


後半はさらにアイデアのブラッシュアップとプロトタイプの形について検討していきました。
簡単には1つのアイデアの形にまとまりませんが、チームの全員で話し合い、それぞれの意見を出していくことで少しずつ形になってきたようでした。


「成果発表〜相互評価(2023年HCD-Net UXデザイン連続セミナー Day6)」開催レポート
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10月28日に、オンライン(Zoom)形式で6回目を開催しました。
今回は、「成果発表〜相互評価」ということで、Day1~Day5までの総決算であるグループワークの成果発表を行いました。発表に対して、講師の井登さんからもFBをいただき、参加者間で感想を述べあいながらお互いの理解を深めました。

午前中は各グループで午後の発表に向けて準備を行いました。
チームによっては直前にグループワークで検討した内容のブラッシュアップを行ったり、グループワークで発表するサービス名を直前に決めたり、事前に準備を着々と実施したりと各グループによって違いが出て特色が出ました。

午後からは、今までの総決算である成果発表を実施しました。
今まで検討した内容である「どんなペルソナのどんな課題を解決するか」「課題を解決するためにどんなサービスを提供するか」「サービスコンセプトやカスタマージャーニーはどんな風に設計したか」等を各グループが発表しました。


今回のセミナー全体を通して色々なバックグラウンドや考え方を持った人と出会い、参加者の皆様は、とても充実した体験を得られて、かつ、多様な考え方も身に着けられたと思います。
今後、参加者の方々が学んだことを現場で役立てていかれることを期待します。

最後に、今年はオフラインとオンラインのハイブリットセミナーでした。
開催にあたってZoomやSlackなどツールも活用して実施しましたが、何よりも参加者の皆様の熱意や頑張りに支えられ無事に終了できたことを講師・運営メンバー共に大変感謝しております。ありがとうございました。

体系的に人間中心デザイン/UXデザインを学べる連続セミナーを計画しました。
HCD/UXDは学習範囲が多岐にわたるため、習得すべき各論・手法論を網羅的に学び、実地に経験することが容易ではないことがHCD/UXDの推進の妨げの一因と考えられます。
このHCD/UXD連続セミナーでは、一連のデザインプロセスに沿った流れで主要な理論を学習、理論を実践するための手法論についても演習形式で実践経験できる短期集中型プログラムとして実施します。
この企画は、全国の学びたい実施したいという姿勢を持つ人々に対し、HCD/UXDの推進の妨げをなくしHCD/UXDをスムーズに実施できるように手助けすることを目的とする。
2020年度〜2022年度はフルオンラインで実施しておりましたが、本年は初回のみ対面実施(東京開催)とし、2回目以降はフルオンラインで実施致します。

■開催日時:
第1回セミナー:2023年8月26日(土)10:00~18:00「価値探索のためのデザイン・リサーチ概論」
第2回セミナー:2023年9月2日(土)13:00~18:00「デプスインタビューを用いた価値探索〜価値抽出」
第3回セミナー:2023年9月16日(土)13:00~18:00「価値の構造化とペルソナデザイン」
第4回セミナー:2023年10月1日(日)13:00~18:00「ユーザー体験の俯瞰的な可視化によるアイデア発想手法」
第5回セミナー:2023年10月14日(土)13:00~18:00「キーモーメントの策定→具体化とアイデアの拡張発想」
第6回セミナー:2023年10月28日(土)13:00~19:00「プロトタイピングによるエバリュエーション手法」

※本年は講義録画を各回のセミナー前に視聴いただき、各回のセミナーでは質疑と演習を中心に進めていきます。(1回目のみリアルタイム講義を予定)
なお、講義動画は受講者のみの視聴に留めてくださいますようお願いいたします。

■会場:
第1回:オフライン
会場:株式会社インフォバーン
(東京都渋谷区円山町23-2 アレトゥーサ渋谷 6F)

第2〜6回:オンライン(Zoom)

■講師:井登 友一(いのぼり ゆういち)氏
デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に当社入社。
UXデザイン、サービスデザインを中心としたデザイン・コンサルティング事業の統括を行う。
日本プロジェクトマネジメント協会 認定プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)
HCD-Net(特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構) 副理事長
京都女子大学 家政学部 生活造形学研究科 非常勤講師
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学部 嘱託講師
立命館大学 経営学部 非常勤講師
京都大学 経営管理大学院 博士後期課程 修了


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HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。