セミナー・サロン

<午前中>
■ワークショップ
野々山 正章氏 株式会社ソフトディバイス
タイトル「UIの変遷とUIデザイン」


午前中、野々山氏から、2018年現在までのUIの歴史的変遷を約80分間かけて丁寧にご講演いただき、その知識を基に簡単なワークショップを約40分実施していただきました。
講演はまず、ご自身の経歴と勤務先であるソフトディバイスの業務内容を導入とし、『WILL(意志)を構築して醸成する』というご自身の仕事の上でのコンセプトについてご説明されました。その後、野々山氏は計算機の歴史まで触れた上で、コンピューターにおけるインタフェースの進歩を3つの段階に区分する案を紹介しました。
さらにこれを具体的に理解するため、1つ目のユーザーインタフェースの時代から2つ目のヒューマンインタフェースの時代への変化の反映としてapple社のデザインガイドラインを紹介。会場に実物を持って来られた“Apple Human Interface Guidelines: The Apple Desktop Interface”(1987)と、WEB上に掲載された”Essential Design Principles”(WWDC2017) を比較、ここで示された各デザインテーマを詳細に説明し、また2つのガイドライン間の差についても考察されました。最後にソフトディバイスが業務で運用しているデザインテーマについてもご説明されて講演を終了しました。
11時30分から5分間の休憩をはさみ、ワークショップを実施しました。今年の豪雨災害を反映して、テーマは『河川監視システム』です。3つのアイテムから1つを選んでペーパープロトを作成します。(アイテム: ①BtoB・80inchディスプレイ・大勢が見て方針を検討する ②BtoB・スマートフォン・現場の職員が使用する ③BtoC・スマートフォン・一般の人が災害情報にアクセスする) ペーパープロトタイプはシャッフルディスカッションで振り返りを行い、ワークショップを終了しました。

<午後>
■講演会
松波 晴人氏 大阪ガス行動観察研究所・所長
タイトル「新しい価値を創る方法論としてのForesight Creation」


午後は例年通り、4名の講師の方からご講演をいただきました。最初は大阪ガスの松波氏です。松波氏は、会社の中で新しい価値を生み出しても、せっかく生み出した価値が現代社会では長続きしないという事実を指摘しました。その上で、Foresight Valueを生み出す人材育成が何よりも重要と考えて始められたForesight schoolについてご説明されました。(Foresight schoolは大阪大学との協力の上で実施。)

その後、「どのように新しい価値を創造するか?」 そのための4つの質問を提示。各項目について解説されました。
Q1 みなさんの最近の気づきはなんですか?
Q2 あなたの気づきからどういうインサイトが得られますか?
Q3 インサイトにもとづく、あなたの新しい価値は何か?
Q4 あなたの自分ごとは何? どういう世の中にしたい?

講演は、要所ごとにショートムービーを挟んだメリハリのある進行が特徴的でした。終了後の質疑応答は、会社の中でいかにイノベーションに取り組んでいくか、上司の理解を得ていくかについて多数の質問がありました。松波氏から示唆に富んだ回答があり、質問者もしきりに頷いていました。

松尾 謙二郎氏 インビジブル・デザインズ・ラボ代表
タイトル「音と音楽が身近すぎるからこそ見えにくい音の今と未来を考える」


松尾氏は、音楽は身近すぎてまだその能力を発揮していないという視点から、「音の拡張」について、さまざま事例を映像で紹介しながら講演を進められました。まず、音というものは、ただ聞こえるのではなく、人間の脳の中で意識の集中と共に理解されているという事実を、いくつかの実験映像から参加者に実感してもらいました。視覚情報など他の入力による意識の持ち方によって、同じ音でも聞こえ方が変わることは多々あるようです。また、音は真似から学ぶ要素が強いため、環境による学習が必須と思われるが、一方で赤ちゃんや動物が音楽を感じている様子などからいわゆる本能的に音を認知している要素についても考察されました。
松尾氏は、音楽が人間の生活を豊かにするのは間違いなく、音楽には可能性があり、これをビジネスに繋ぐことを研究していくとのこと。デジタル技術の進歩により、アナログ楽器の演奏は以前に比べれば廃れつつあります。この状況下で、音楽が専門家のものではなく、デジタルを使った新しい演奏や音楽表現がさらに拡張されていく未来像について前向きに語られました。専門性は高いですが、身近な実例やわかりやすい映像を多用しており、興味深い講演であると大変好評でした。

深田 昌則氏 パナソニック株式会社アプライアンス社 Game Changer Catapult代表
タイトル「Game Changer Catapult」新規事業創出イニシアティブ
〜未来のくらしをカタチにするイノベーションの土壌と風土づくり


深田氏は、日本を代表する企業のひとつであるPanasonicの社内において、イノベーションに取り組んでいる部門の実情について、現場のトップ・リーダーとして熱く語られました。まず、イノベーションを産むために、現代がどんな時代なのか、前提となる時代背景について説明されました。その認識とは、世の中が大きく変わりつつあること、Dr. John Seedy Brownを引用すると「現在、常に変化が発生する不安定な世界になっている」ということでした。長期に渡って繁栄する企業は、祖業とは全く異なる事業へとシフトしている。しかし、Panasonicは100年前と同じ電気会社だという指摘をされており、今後変わっていかなければならないという認識を示されました。
その後、ご自身が代表を務めるGame Changer Catapultのコンテンツや具体的な業務の進め方を色々とご説明いただきました。ビジネスコンテストを実施したり、アメリカに行けることをインセンティブに、社員に変革への「意思」を持ってもらうきっかけを作ったりという取り組みをされているそうです。また、新商品の発表に際しても会社の支援が十分あるわけではなく、少人数で多岐に渡る業務に取り組んでいる様子を語られました。また、こうしたイノベーションを産むエッジ部門では、後輩が先輩から学ぶ時代ではない。Borderlessをキーワードにせよ。会社内でのイノベーションは、抵抗も大きく困難ではあるが、企業の利益と自身の意思が共に満たされる「共創」を実現せよ、最終的には社会起業家を目指すべきだと終始熱く語られました。
会社の外に出て行くことの重要性、大企業の中でのイノベーションリーダーの役割について、深田氏は終始自覚的であり、これを実行し続ける事の重要性を強く参加者へ訴えかけられました。参加者にはメーカー勤務者が多く、深田氏の講演は非常に興味深く自分の問題と捉えている様子が多数伺えました。

前刀 禎明氏 株式会社リアルディア 代表取締役社長
タイトル「未来を創造するセルフ・イノベーション
Free Yourself, Create Yourself」


最後は、TVでコメンテーターを務めるなど、多方面でご活躍されているご前刀氏の講演です。アップル在籍時のさまざまな映像やスティーブ・ジョブズとのツーショット写真の紹介など、洗練されたプレゼンテーションに会場は圧倒されどおしです。SONY在籍時の話、ディズニー在籍時の話、そして、アップル入社時のスティーブとの出会い、ツーショット写真を撮った際のエピソード、iPod miniを大ヒットに導いた戦略など、とても興味深い話に参加者は魅了されていました。
自分が欲しいものを作る、未来予測でなく未来創造、純粋にいいものを作るなど、積極的な自身の考え方を示し、一方で、うまくいかない時も、自分の身に起きていることは全部自分の責任であり、環境や他人の責任にしないという、自制心についても印象的に語られました。後悔を少なくする人生を送りたい、そのために心が喜ぶ事をするんだと熱く語られ、そして、最後に聴衆に向かって前向きなキーワードを映し出し、熱い思いを伝播しつつプレゼンテーションが終了しました。
HCD-Netに対しても、Webページ等を見たが、プロセスを重視するなど、いつのまにか枠に収まってきているのではないか。それではダメだと、目が覚めるようなご指摘をいただきました。ありがとうございます。

今年も盛会のうちに関西フォーラムを開催することができました。講師の方々、参加者の方々に重ねて御礼申し上げます。
(報告:HCD-Net 関西支部 小林拓也)

HCDを学ぼう! 今年も人間中心設計に関する終日のイベント「HCD-Net関西フォーラム 2018」を開催します。今年のテーマは「HCD、そして新しい価値の創造へ」です。デザインの基本的な知識を持ち、ユーザーを深く理解する。そういった土台があって初めて「新しい価値の創造」へとつながるのだと思います。2018年はその両方が学べる場を設けました。

午前は「UIの変遷とUIデザイン」ワークショップを行います。新しい価値を創造しても、それをユーザーへ伝達するインターフェイスがおろそかでは台無しです。日本のUIデザインの草分け的存在であるソフトディバイス社で、様々な製品のUIデザインを手掛けてこられた野々山正章氏より、UIデザインのエッセンスを教えていただきます。

午後は講演会を開催いたします。「新しい価値の創造」をテーマに4名の講師から様々な切り口でお話しいただきます。

1演題目は、大阪ガス株式会社 行動観察研究所 所長 松波晴人氏より「新しい価値を創る方法論としてのForesight Creation」と題してお話しいただきます。「会社の将来を支える新しい価値の創造を、君が担当してくれないか」そんな役割を担っているみなさん、必聴ですよ!

2演題目は、インビジブル・デザインズ・ラボ代表 松尾謙二郎氏より音のデザインに関するお話をいただきます。タイトルは「音と音楽が身近すぎるからこそ見えにくい音の今と未来を考える」 人を中心とした音や音楽の在り方について、深い話が聴けるに違いありません。製品やサービスにとって音は重要な要素。ぜひお聴き逃しなく。

3演題目は、パナソニック株式会社 アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト代表 深田昌則氏よりお話をいただきます。

4演題目は、株式会社リアルディア 代表取締役社長 前刀禎明氏より、新しい価値を創る力「創造的知性」を高めるために開発したアプリ「DEARWONDER」についてのお話をいただく予定となっております。ウォルト・ディズニー、AOLを経て、アップル米国本社副社長 兼 日本法人 代表取締役をご経験された前刀禎明氏が語る「新しい価値を創るチカラ」とは? 

各分野における最先端の取り組みの話をお聴きすることができるとても貴重な機会です。是非ご来場ください。
講演会終了後には交流会を開催いたします。こちらにも是非参加いただき交流を深めていただければと思います。

なお、やむを得ない事情で講演者および講演タイトルが変更になる場合があります。ご了承ください。

■日時:2018年8月27日 (月) 10:00~20:00 (受付9:45~)

■会場:グランフロント大阪北館7F ナレッジサロン

■定員:70名

■プログラム:
9:45~ ワークショップ受付

10:00~12:30 ワークショップ「UIの変遷とUIデザイン」
内容:
・ソフトディバイスの取り組みの紹介(仮)
・UIの歴史の基礎「使い手として抽象化された人から、心ある人へのデザインへの変化」
・UIの基本的な構成やデザインの考え方「最新のデザインガイドラインから、UIデザインの基礎をあぶり出す」
・ミニUI演習「同じ目的のUIをデバイス別にデザインする」
・プロトタイプデモンストレーション「Adobe XD入門とライブ編集がもたらすワークフロー」

講師:野々山 正章氏(株式会社ソフトディバイス)
ご略歴:1981年生まれ。情報デザイン・文化心理学を学び、2007年ソフトディバイス入社。インフォメーションアーキテクチャー/インタラクションデザイナーとして、デザインリサーチ、デザイン手法開発、プロトタイピングを積極的に行い、家電や業務機器、車両などの組込み系UIを中心に様々なUIデザインに関わる。共著書『文化心理学 (朝倉心理学講座11)』、HCD-Net認定 人間中心設計専門家、京都造形芸術大学非常勤講師。

12:30~ 講演会受付

13:00~13:10
開会のごあいさつ 人間中心設計推進機構 理事・関西支部長 水本 徹氏

13:10~14:10
講演①「新しい価値を創る方法論としてのForesight Creation」
松波 晴人氏(大阪ガス株式会社 行動観察研究所 所長)

14:10~15:10
講演②「音と音楽が身近すぎるからこそ見えにくい音の今と未来を考える」
松尾 謙二郎氏(インビジブル・デザインズ・ラボ 代表)

15:10~15:20 休憩

15:20~16:20
講演③ タイトル未定 
深田 昌則氏(パナソニック株式会社 アプライアンス社 ゲームチェンジャー・カタパルト代表)

16:20~17:20
講演④ タイトル未定 
前刀 禎明氏(株式会社リアルディア 代表取締役社長)

17:20~17:30 閉会のごあいさつ

17:45~20:00 交流会(企業展示)

■参加費:
【ワークショップ】
HCD-Net正会員/賛助会員:3,000円
学生:1,000円
一般:4,000円

【講演会】
HCD-Net正会員/賛助会員:4,000円
学生:1,000円
一般:5,000円

【交流会】
一律3,500円

■対象HCDコンピタンス
B1. プロジェクト企画能力
B2. チーム運営能力
B3. プロジェクト調整・推進能力
A5. ユーザー体験の構想・提案能力
A6. ユーザー要求仕様作成能力
A7. 製品・事業の企画提案力
A8. 製品・システム・サービスの要求仕様作成能力
A9. 情報構造の設計能力
A10.デザイン仕様作成能力
C1. HCD適用・導入設計能力
C2. 教育プログラム開発能力


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動画チャンネル

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HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。