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『HCD-Netフォーラム2018』開催レポート1日目【11月30日(金)】

HCD-Netフォーラム2018(テーマ:あらためて「Human Centered Design」の意味を考える)を、11月30日、12月1日の2日間にわたり開催しました。200名の方が参加する盛況な会となりました。

■開会式・オープニングパネル「HCD-Netの現在と未来」  
オープニングパネルでは、まず、理事長の篠原稔和より、 HCD-Netが目指す新しいビジョンとして、実践的な探求&研究マインドを核とした、①専門家・プロフェッショナルの資格認定、②初学者・専門家の基礎教育、③プロたちのナレッジ共有の場、という3つの機能が紹介されました。
※3つの機能の詳細は「理事長よりご挨拶」にて→https://www.hcdnet.org/organization/message.html


次に、ヒューマンインタフェース学会ユーザエクスペリエンス及びサービスデザイン専門研究委員会の大野健彦氏より、他団体からのHCD-Netへの期待をお話いただきました。①の資格については、企業にとって重要な資格であり、スキルの裏付けや国際化へ期待、②の教育については、UXデザインに差がつくポイントとしてリベラルアーツの必要性、③のナレッジ共有については、事例の重要性などが語られました。


次に、HCD-Netを支える理事メンバーが3つのテーマにわかれてパネルディスカッションを行いました。

テーマ1 専門家・プロフェッショナルの資格認定では、30人の専門家のジャーニーマップが紹介され、また、専門家というと、もやもやしている案件がいろいろ降ってくるが、どうやって人の視点を入れるかのアレンジ力が問われる等の話がありました。



テーマ2 初学者・専門家の基礎教育では、情報系の学生にHCDの教育がない等の話から、興味のない人にどうやって興味を喚起するか、周辺の分野の人をまきこむか等の話がありました。



テーマ3 プロたちのナレッジ共有の場では、「他の学会や専門家コミュニティではテーマの細分化があって横の連携等がない」という指摘に対し、HCD-Netでは、本領域の拡がりの機運に応じてさまざまな場を設けていきたいこと、その例として「談話会」のこれまでと今後のあり方、あらたなアウォード制度やフォーラムといった活動のあり方などが紹介されました。


   


■基調講演


川上 浩司氏  『不便益の研究』    ーーーーーーーーーー

川上 浩司氏の講演では、身の回りにある様々な不便益の事例収集から、不便益の特徴を考察し、新たなシステム設計に生かすサイクルのお話がありました。
不便でよかったこととしては、可視性が高くなる、気づきや出会いの機会が拡大する、能動的な工夫ができる、モチベーションが向上するなどがあげられ、サービスやシステムのデザインに「手間をかけ頭をつかうことの意義」を考えることが、本フォーラムのテーマである「あらためてHuman Centered Designの意味を考える」ことにつながると感じました。



及川 卓也氏 『 使われるプロダクト開発の秘訣 』   ーーーーーーー

及川 卓也氏の講演では、まず、コンピューターの歴史とUIについて1980年代から現代までの特徴をお話しいただきました。現代は、Pervasive、Ubiquitous、IoT、AIという、人は何かを使っているという意識がなくなっていく特徴があり、人間中心ではなく、人間を社会のパーツとして考える必要性を示されました。次に組織とプロセスについて、プロダクトマネージャーの重要性を語られました。プロダクトマネージャーは、チームを率いるが人事権を保有しない、だからこそビジョンがいる、というお話が印象的でした。




竹田 茂氏 『 日本人中心設計という思想 』  ーーーーーーー


竹田 茂氏の講演は、 日本人の昔の価値観を見直す、言葉を大切にするという観点から、「あらためてHuman Centered Designの意味を考える」ことを示されたように感じました。お手本のないこれからのことを考えるときには生活の言葉を使うこと「会議室の言葉から台所の言葉へ」が重要で、たとえば 、socialの訳語は社会より世間、などがデザインのヒントにつながると感じました。

講演内容は、竹田氏のWebサイト「42/54」にも記載されています。
https://42-54.jp/20181128001-2/


   


■HCD-Netに関連する団体や世界の状況の紹介

HCD-Netの副理事長であり、人間工学会の理事長である吉武良治氏からは、
人間工学会の設立趣旨や活動内容、認定人間工学専門家の紹介などがありました。



HCD-Netの副理事長であり、Service Design Networkの日本支部共同代表である長谷川敦士氏からは、グローバルで活動しているSDNのメンバー構成や、カンファレンス内容の紹介がありました。



HCD-Netの理事長である篠原稔和氏からは、海外の関連団体の紹介として、中国のUXPAのイベントの紹介やメッセージの紹介、欧州の専門家資格認定に関わる活動の紹介などがありました。


   


■学術奨励賞 表彰式

論文誌に掲載された短報論文の中から優秀な論文として選出する学術奨励賞の表彰式では、安浩子氏らの「組織にHCDを浸透させるための教育的枠組み-事例にもとづいた検討の報告-」が表彰されました。


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■受賞者:左から日野隆史氏/安浩子氏/飯尾淳氏※出席者のみ

   


■交流会


理事長の篠原氏と実行委員長の河野氏より挨拶のあと、講演者の及川氏、竹田氏も交えた交流会で盛り上がりました。



HCD-Netフォーラム2018開催レポート【2日目:12月  1日(土)】へ続きます。


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動画チャンネル

一部の講演は動画チャンネルで見ることができます。

HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。