セミナー・サロン

2025年7月5日に「UX視点で学ぶUIサウンドデザイン~ユーザー体験を向上させる報知音の設計~」セミナーを開催しました。
本セミナーは、UX向上の視点から製品における音の使い方とサウンドデザインの基本を学び、音を“感覚”ではなく“設計”として捉える考え方をアプローチ方法を学ぶことを目的としました。
講師は、製品のユーザインタフェースにおける操作音や報知音、音声対話のデザインについての研究や企業へのコンサルテーションを行っている、同志社女子大学 学芸学部メディア創造学科 教授の和氣早苗氏。
グラングリーン大阪「ROOT」をお借りして対面形式で実施しました。
大阪での開催のため、本セミナー運営は教育事業部と関西支部による共同開催で行いました。



はじめに、UIサウンドデザインの現状について講義を行いました。
サウンドの事例として、駅にある発券機や銀行のATMなどの機器を操作した時に流れるサウンドを紹介しました。機器が発するサウンドが不快に感じられる要因は、「サウンドの使い方」と、「サウンドそのもの」の2つの問題に分類できることから、UIサウンドデザインは、発音設計とサウンドデザインの両方を考える必要があることを学びました。

次に、発音設計とサウンドデザインを行うための具体的な方法についてそれぞれ講義を行いました。
発音設計では、操作のフィードバックを伝える「操作反応音」や操作後の機器状態を伝える「報知音」、操作前に何らかのメッセージを伝える「ガイド音」の3つのサウンドそれぞれについて、「何のために」「誰に対して」「どんなメッセージを」「どのタイミングで」知らせるかを考えるヒントを得ることができました。UIサウンドデザインと聞くとサウンドそのものについて考えがちですが、多くの場合はサウンドの使い方が問題となっているというお話が印象的でした。サウンドデザインでは、発音設計したものを「どんな音で」伝えるかをデザインしますが、サウンドデザイナーのようなサウンドデザインの専門家に依頼することが多く、依頼する際に円滑に意思疎通を行うための方法について学ぶことができました。
また、昨今のAIの発展がもたらす音声対話におけるUIサウンドデザインの観点や方向性についても見解を述べていただきました。

最後に、参加者が業務で担当されている製品の「操作音や報知音が鳴っている操作シーン」を紹介いただき、講師からフィードバックをいただく時間を設けた後、セミナーは終了となりました。

参加者の皆様は講義内容に関して真剣に耳を傾けられており、講師への質疑応答の時間では大変多くの方にご質問をいただくことができました。セミナー後は懇親会にもご参加いただくなど、参加者交流も盛んに行われました。セミナー後のアンケートでは、「今の仕事に役立つ情報が得られた」「UIサウンドデザインを体系的に学べた」といった感想をいただくことができました。

今回のようなUIサウンドデザインを学ぶ機会は希少であり、HCD-Netでも「音」をテーマにした企画は初めてでしたが、沢山の受講者に参加いただき、デザイン対象の拡がりへの関心の高まりを感じることができました。

なお、今回は大阪での開催でしたが、より多くの方にUIサウンドデザインの重要性や方法を学ぶ機会を得ていただきたいと考え、今年度中に東京・名古屋でも開催を行うことを検討しております。

本セミナーの参加者の皆さまが学んだことを現場で役立てられることを期待します。


「とりあえず終了音は入れたけど、これで本当にいいのかな…?」
「UXのためのサウンドデザインって何?どうやるの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?

製品やサービスに組み込まれる“報知音”や“音声”は、感情や印象だけでなく、
使いやすさを形づくる大切な要素として、ユーザー体験の向上に大きく関わっています。

しかし、音の設計は「専門的すぎるのでは?」と感じたり、
体系的に学ぶ機会がなかったりと、進め方に悩んでいる方も多いはず。

本セミナーでは、UX向上の視点から製品における音の使い方とサウンドデザインの基本を学び、
音を“感覚”ではなく“設計”として捉える考え方やアプローチ方法をご紹介します。

また、ご自身が関わっている自社製品を用いて、「操作音や報知音が鳴っている操作シーン」の録画をお持ちいただける方は、フィードバックの時間を設け、より具体的な学びにつなげていただけます。(動画のご持参は任意です)。

今後の業務で活かせる実践的なヒントが得られる入門的な内容です。
はじめてUIサウンドデザインに取り組む方も安心してご参加ください。

■開催日時:2025年7月5日(土)13:00~17:00(受付12:30~)

■会場:グラングリーン大阪「ROOT」
(大阪市北区大深町6番38号 グラングリーン大阪 北館 JAM BASE 5階(JAM-OFFICE 5-F))
https://www.ritsumei.ac.jp/root/

■主催:特定非営利活動法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)

■対象となる方
•家電、工業製品、機械工作などのUIUXデザインに携わっている方
•製品開発やUXデザインの中でサウンドに関心がある方
•サウンドデザインに興味があり、基礎から学びたい方/進め方に悩んでいる方

■講師:
和氣 早苗(わけ さなえ)氏
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科 教授
博士(工学)。電機メーカーの研究所で勤務後、2002年に同大学に助教授(准教授)として着任、2012年より教授。 ヒューマンインタフェースにおける聴覚メディアの利用と効果、ユーザインタフェース設計および人間中心設計、人間中心設計、ユニバーサルデザイン、情報デザイン等の研究に従事。 近年は特に、製品のユーザインタフェースにおける操作音や報知音、そして音声対話のデザインについて研究や企業へのコンサルテーションを行う。

■プログラム:
13:00~13:10 オープニング
13:10~15:40 講演・質疑
15:50~16:50 持ち込み事例のフィードバック・質疑
16:50~17:00 クロージング

■参加費:
HCD-Net正会員・賛助会員:4,000円
一般:5,000円
HCD-Net学生会員:1,500円
一般学生:2,000円

■定員:25名


セミナー・サロンレポート ※研究発表会は「研究会」ページをご覧ください

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動画チャンネル

一部の講演は動画チャンネルで見ることができます。

HCD-Netで人間中心設計を学ぶ

HCD-Net(人間中心設計推進機構)は、日本で唯一のHCDに特化した団体です。HCDに関する様々な知識や方法を適切に提供し、多くの人々が便利に快適に暮らせる社会づくりに貢献することを目指します。

HCDに関する教育活動として、講演会、セミナー、ワークショップの開催、 HCDやユーザビリティの学習に適した教科書・参考書の刊行などを行っています。