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2025年11月1日に「UX視点で学ぶUIサウンドデザイン~ユーザー体験を向上させる報知音・音声の利用と設計~」セミナーを開催しました。
本セミナーは、UX向上の視点から製品における音の使い方とサウンドデザインの基本を学び、音を“感覚”ではなく“設計”として捉える考え方をアプローチ方法を学ぶことを目的としました。
講師は、製品のユーザインタフェースにおける操作音や報知音、音声対話のデザインについての研究や企業へのコンサルテーションを行っている、同志社女子大学 学芸学部メディア創造学科 教授の和氣早苗氏。
7月に大阪で開催した本セミナーを東京でも開催する運びとなり、今回は同志社大学東京サテライト・キャンパスをお借りして対面形式で実施しました。
はじめに、UIサウンドデザインの現状について講義を行いました。
サウンドの事例として、駅にある発券機や銀行のATMなどの機器を操作した時に流れるサウンドを紹介しました。
機器が発するサウンドが不快に感じられる要因は、「サウンドの使い方」と、「サウンドそのもの」の2つの問題に分類できることから、UIサウンドデザインは、発音設計とサウンドデザインの両方を考える必要があることを学びました。
次に、発音設計とサウンドデザインを行うための具体的な方法についてそれぞれ講義を行いました。
発音設計では、操作のフィードバックを伝える「操作反応音」や操作後の機器状態を伝える「報知音」、操作前に何らかのメッセージを伝える「ガイド音」の3つのサウンドそれぞれについて、「何のために」「誰に対して」「どんなメッセージを」「どのタイミングで」知らせるかを考えるヒントを得ることができました。UIサウンドデザインと聞くとサウンドそのものについて考えがちですが、多くの場合はサウンドの使
い方が問題となっているというお話が印象的でした。
サウンドデザインでは、発音設計したものを「どんな音で」伝えるかをデザインしますが、サウンドデザイナーのようなサウンドデザインの専門家に依頼することが多く、依頼する際に円滑に意思疎通を行うための方法について学ぶことができました。
また、昨今のAIの発展において、従来のCUIやGUIに加え、NLUI(Natural Language User Interface)の選択肢も考えられる中で、サウンドデザインの観点の重要性が増していくという見解を述べていただきました。
最後に、参加者が業務で担当されている製品の「操作音や報知音が鳴っている操作シーン」を紹介いただき、講師からフィードバックをいただく時間を設けた後、セミナーは終了となりました。
参加者の皆様は講義内容に関して真剣に耳を傾けられており、講師への質疑応答の時間では大変多くの方にご質問をいただくことができました。セミナー後は懇親会にもご参加いただくなど、参加者交流も盛んに行われました。
セミナー後のアンケートでは、「UIサウンドデザインで悩んでいることに対する解決に繋がる内容で大変勉強になった」「この分野の知見が少ない状況の中、体系的にまとめられた知見はとても有益だった」といった感想をいただくことができました。
今回のように「音」をテーマにした企画はHCD-Netでも開催が少ない中、今回も参加者が満員となり、UIサウンドデザインの関心の高まりを感じることができました。次回は、名古屋での開催を予定しております。
本セミナーの参加者の皆さまが学んだことを現場で役立てられることを期待します。
「とりあえず終了音は入れたけど、これで本当にいいのかな…?」
「最近しゃべる機器もたくさんあるけれど、取り入れた方がいいかな?」
「UXのためのUIサウンドデザインって何?どうやるの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
製品やサービスに組み込まれる“報知音”や“音声”は、使いやすさを形づくる大切な要素として、ユーザー体験の向上に大きく関わっています。
しかし、音の利用や設計には「専門知識が必要では?」と感じたり、体系的に学ぶ機会がなかったりと、進め方に悩んでいる方も多いはず。
本セミナーでは、UX向上の視点から製品のUIにおける音の使い方とサウンドデザインの基本を学び、音を“感覚”ではなく“設計”として捉える考え方やアプローチ方法をご紹介します。
また、ご自身が関わっている自社製品について、「操作音や報知音が鳴っている操作シーン」の録画をお持ちいただける方は、フィードバックの時間を設け、より具体的な学びにつなげていただけます。(動画のご提出は任意です)。
今後の業務で活かせる実践的なヒントが得られる入門的な内容です。
はじめてUIサウンドデザインに取り組む方も安心してご参加ください。
■開催日時:2025年11月1日(土)12:30~16:30(受付12:00~)
■会場:同志社大学 東京サテライト・キャンパス
(東京都中央区京橋2丁目7−番19号 京橋イーストビル 3階)
https://tokyo-office.doshisha.ac.jp/to/
※オンライン配信はありません。
■参加費:
HCD-Net正会員・賛助会員:5,000円
一般:6,000円
HCD-Net学生会員:1,500円
一般学生:2,000円
懇親会費(希望者のみ):3580円
■申し込み期限:2025年10月22日(水)17時
※定員に達し次第打ち切りといたします。
■定員:50名(先着順)
■プログラム:
12:30~12:40 オープニング
12:40~15:30 講演・質疑
15:40~16:20 持ち込み事例のフィードバック・質疑
16:20~16:30 クロージング
17:00〜 懇親会(任意)
■対象となる方:
•家電、工業製品、機械工作などのUIUXデザインに携わっている方
•製品開発やUXデザインの中でサウンドに関心があり、基礎から学びたい方
•製品のサウンドデザインに興味があるが、進め方に悩んでいる方
■参加者付与ポイント:1ポイント(認定資格保持者の方)
※参加時間が短い場合など、上記ポイントを付与できない場合があります。
■講師:
和氣 早苗(わけ さなえ)氏
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科 教授
博士(工学)。電機メーカーの研究所で勤務後、2002年に同大学に助教授(准教授)として着任、2012年より教授。 ヒューマンインタフェースにおける聴覚メディアの利用と効果、ユーザインタフェース設計および人間中心設計、ユニバーサルデザイン、情報デザイン等の研究に従事。 近年は特に、製品のユーザインタフェースにおける操作音や報知音、そして音声対話のデザインについて研究や企業へのコンサルテーションを行う。
