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製品やサービスをデザインするための人間中心設計(Human-Centered Design)の根幹には、ユーザーの行動や思考、価値観を深く理解し、それに基づいて最適な体験を構築するという姿勢があります。しかし、「人間を理解する」とは、果たしていかなる営みなのでしょうか。本フォーラムでは、文化人類学者の小川さやか氏、仕掛学の提唱者である松村真宏氏をお招きし、HCD-Net理事長の井登友一氏とともに、文化人類学・仕掛学・HCDという異なる学術的背景と実践的知見をもとに、「人間理解」という根源的な問いを多角的に考察します。
午前は、昨年のフォーラムで大好評だったインクルーシブペルソナカードを使った課題発見からアイデア創出までを実践的に体験できるワークショップをCULUMUの川合氏に実施いただきます。午後の小川氏、松村氏、井登氏の講演はオンライン配信も行いますので、遠方の方もぜひご参加下さい。
■日時:2025年8月31日(日)
午前の部 10:00~12:00(受付開始 9:45) ワークショップ(対面のみ)
午後の部 13:00~17:30(受付開始 12:45) 講演会(対面+オンライン配信)
■会場:グランフロント大阪ナレッジサロン
(大阪市北区大深町3-1 グランフロント大阪 ナレッジサロン)
■プログラム:
10:00~12:00 ワークショップ
多様な視点からの価値を発見する「インクルーシブデザインワークショップ」
デザインスタジオCULUMU 川合 俊輔氏
13:05~14:20 講演①
エスノグラフィ・プロトタイピング―人類学者ゲームを通じたオルタナティブな社会の創造
立命館大学 先端総合学術研究科 小川 さやか氏
14:30~15:45 講演②
仕掛学 〜人を動かすアイデアのつくり方〜
大阪大学 大学院経済学研究科 松村 真宏氏
15:55~17:25 講演③
コンテクストの視点からHCDの存在論を問い直す
HCD-Net、立命館大学 経営学部、(株)インフォバーン 井登 友一氏
18:00~19:30 交流会(会場にてケータリング)
■講演内容:
多様な視点からの価値を発見する「インクルーシブデザインワークショップ」
デザインスタジオCULUMU 川合 俊輔氏
本ワークショップでは、デザインスタジオCULUMUが提供する「インクルーシブペルソナカード」を活用して、高齢者・障がい者・外国人など、多様な背景をもつ人々の視点に立ち、課題発見からアイデア創出までを実践的に体験できるプログラムです。
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の重要性が高まる中、企業が最初に向き合うべきは“排除されがちなユーザー”の存在です。実在する当事者像を通じて、多様なニーズを具体的に理解し、共感に基づくアイデア創出や、社会の多様性に対応するプロダクト・サービスの改善点を導き出すことが可能です。この体験を通じて、アクセシビリティの高いサービス開発や、多様性に根ざしたイノベーティブな企画立案が促進されます。また、単なる知識の習得にとどまらず、参加者の中に「インクルージョンとは何か」という問いが内在化されるよう設計された、実践的かつ内省的な学びの場となるワークショップです。
エスノグラフィ・プロトタイピング―人類学者ゲームを通じたオルタナティブな社会の創造
立命館大学大学院 先端総合学術研究科 小川 さやか氏
本講演では、民族誌に描かれた人類学者の実践を再現したゲームを通じて人類学者の思考法をインストールする試みについてお話しし、異文化から私たちの未来をデザインする「エスノグラフィ・プロトタイピング」の可能性を議論する。
仕掛学 〜人を動かすアイデアのつくり方〜
大阪大学 大学院経済学研究科 松村 真宏氏
社会の問題の多くは人々の行動が作り出しています。したがって、人々の行動を変えることができれば、社会の問題の多くは解決します。しかし、正論が通じない人が問題行動を起こしているので、正論を訴えても行動は変わりません。そのような正論が通じないときに人の行動を変えるアプローチとして最近広く活用されているのが「仕掛学」です。仕掛学は、人の行動を変える「仕掛け」を対象にした新しい学問分野です。仕掛けは行動の変化を強制するのではなく、魅力的な行動の選択肢を増やすことで行動を誘うことを狙います。本講演では、このような「仕掛け」の事例や考え方について紹介します。仕掛けによって、世の中のさまざまな問題を自ら進んで 解決するようになる社会の実現を目指しています。
コンテクストの視点からHCDの存在論を問い直す
HCD-Net、立命館大学経営学部、株式会社インフォバーン 井登 友一氏
デザインの世界では、ユーザーのニーズを満たし、問題を解決することで良い体験を実現してくれる製品やサービスを考える「人間中心デザイン(HCD)」、「ユーザー中心デザイン(UCD)」が当たり前のように前提とされています。もちろん、これらの考え方はデザインする上で当然欠かせない重要な概念ですが、果たしてニーズへの応答と問題解決してさえいれば、人々が余りある選択肢の中からわざわざ選び、夢中になってくれるような製品やサービスをつくることができるのでしょうか?人間中心であることは、本当に人々を幸せにするのでしょうか?20年にわたってHCDに真摯に取り組んできたわたしたちだからこそ、あえて今この論点に向き合 いたいと思います。
■講師プロフィール:
川合 俊輔氏
株式会社STYZ Chief Design Officer
芝浦工業大学デザイン工学部卒。海外を拠点とするデザイン会社を経験した後、インクルーシブデザインスタジオ『CULUMU』を設立。多様なユーザー・生活者と共創するデザインプロジェクトをさまざまな業界・企業と取り組む。また、芝浦工業大学でUXデザイン演習等の非常勤講師を務め、人間工学をベースにユーザー中心のプロセス、デザイン評価手法、UXデザインの研究や教育に携わる。共著書に『ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザイン』(2017, マイナビ出版)、『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2019』(2019, マイナビ出版)、訳書に『UX戦略を組織に取り入れるための戦略的アプローチ』(20 17, 自己出版)、監訳書に『ウェブ・インクルーシブデザイン』(2023, マイナビ出版)などがある
小川 さやか氏
立命館大学 先端総合学術研究科 教授
1978年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科一貫制博士課程修了。博士(地域研究)
国立民族学博物館研究戦略センター機関研究員、同助教、立命館大学先端総合学術研究科准教授などを経て現職。タンザニアの路上商人や香港・中国などのアジア諸国に移動したアフリカ系交易人の商実践について人類学的に研究する。主著に『都市を生きぬくための狡知』(世界思想社、2011年、第33回サントリー学芸賞)、『「その日暮らし」の人類学』(光文社新書、2016年)『チョンキンマンションのボスは知っている』(春秋社、2019年、第8回河合隼雄学芸賞、第51回大宅壮一ノンフィクション賞)など
松村 真宏(まつむら なおひろ)氏
大阪大学大学院経済学研究科 教授
1998年大阪大学基礎工学部卒業。2003年東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。2017年より大阪大学大学院経済学研究科教授。2004年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校客員研究員、2012年〜2013年スタンフォード大学客員研究員。「仕掛学」を創始し、仕掛学の研究・実装・普及に従事。著書は『仕掛学』(東洋経済新報社)、『実践仕掛学』(東洋経済新報社)、『人を動かす「仕掛け」』(PHP研究所)、『しかけは世界を変える!!』(徳間書店)、『Shikake: The Japanese Art of Shaping Behavior Through Design』(Liveright Pub Corp)、『松村式 子育て仕掛学』(主婦の友社)など。
井登 友一氏
HCD-Net 理事長、立命館大学経営学部 教授
株式会社インフォバーン 取締役副社長/デザイン・ストラテジスト
デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年に株式会社インフォバーンに入社。UXデザイン、サービスデザインを中心としたデザイン・コンサルティング事業の統括を行う。並行してデザイン教育に従事し、2025年4月より立命館大学にて現職。近著に『サービスデザイン思考ー「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』(NTT出版、2022年)
日本プロジェクトマネジメント協会 認定プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)、京都大学 経営管理大学院 博士後期課程修了 博士(経営科学)
■参加費:
1)ワークショップ+講演(対面)
HCD-Net会員:6000円
一般:7000円
2)ワークショップのみ(対面)
HCD-Net会員:2500円
一般:3000円
3)講演会のみ(対面)
HCD-Net会員:3500円
一般:4000円
4)講演会のみ(オンライン)
HCD-Net会員:3500円
一般:4000円
5)交流会(希望者のみ)
4400円
■参加申込方法:下記よりお申込みください。
https://peatix.com/event/4516320/
【注意事項】
■請求書について:
・請求書の発行はお受付いたしかねます。
■領収書について:
・領収書はチケット申し込み時に利用したアカウントより取得してください。
・クレジットカードのご利用明細書、金融機関の払込受領書もしくは払込完了画面、Peatix発行の領収データをもって領収書に代えさせていただきます。
インボイス制度対応の領収書が必要な方は、Peatix発行の領収データをご利用ください。
(参考サイト:https://help-attendee.peatix.com/ja-JP/support/solutions/articles/44001826297)
・HCD-Netより領収書は発行しません。
■キャンセルについて:
・キャンセル前提のお申込みはご遠慮願います。
・やむを得ずキャンセルが必要となった場合は、参加券は8/28(木)12:00までにお申し出があればキャンセル手続きを承ります。それ以降のキャンセルはお受け出来かねますので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
・キャンセル時の返金につきましては、Peatix Help「チケットをキャンセルしたい」をご参照ください。
■賛助会員の皆さまへ:
・2名まで「HCD-Net賛助会員」種別にて参加可能です。3名以降の方は「一般」種別となります。
・予め2名様を社内にてご調整をお願いします。3名を超えた場合は、再度お申し込み手続きを行っていただく場合がございますのでご了承をお願いいたします。
■PayPalをご利用される方へ:
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